個人情報保護法のデータ保護責任者の選任に係る下位規則の制定(2)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 中 翔 平
3 本下位規則の概要
⑵ 個人データまたはそのシステムの「定期的な監視を要する場合」とは
本下位規則においては、データ管理者またはデータ処理者の「中心的な業務」が定期的かつ体系的な個人データの処理を要するものとして個人の行動や趣向等の追跡、監視、分析または予測を伴う場合には、個人データまたはそのシステムの「定期的な監視を要する場合」に該当すると規定されている。本下位規則では、個人データまたはそのシステムの「定期的な監視を要する場合」に該当する場合として、①交通系ICカードのユーザー情報、②契約締結前審査として行う信用評価(但し、信用情報事業法上の信用情報会社による処理を除く。)、③行動ターゲティング広告目的、④電気通信事業者、及び⑤監視・警備に関する個人データの処理が挙げられている。例えば、データ管理者またはデータ処理者の事業がBtoBのものが中心であり、個人顧客の個人データを取得することが基本的に想定されていない場合または業務に必要な範囲で個人データをその都度取り扱っているに過ぎない場合は、定期的かつ体系的な個人データの処理を要するとは言えず、「定期的な監視を要する場合」に該当しないと整理し得る。また、個人の顧客の個人データを頻繁に取り扱う場合であっても、その利用・処理が自動に実施されるとき、または、事業の全体計画や戦略の一環として画一的に行われるとき等でなければ、体系的な(システマティックな)個人データの処理がないとして、上記要件を満たさないと整理する余地もあると思われる。
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(なか・しょうへい)
2013年に長島・大野・常松法律事務所に入所。プロジェクトファイナンス、不動産取引、 金融レギュレーション及び個人情報保護の分野を中心に国内外の案件に従事。2020年5月 にUniversity of California, Los Angeles School of Lawを卒業後、2020年12月より当事務所 バンコク・オフィスに勤務。現在は、主に、在タイ日系企業の一般企業法務及びM&Aのサ ポートを中心に幅広く法律業務に従事している。
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