◇SH1520◇IR協議会、「情報開示と対話のベストプラクティスに向けての行動指針(案)」を公表(2017/11/29)

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IR協議会、「情報開示と対話のベストプラクティスに向けての行動指針(案)」を公表

--フェア・ディスクロージャー・ルールを踏まえた実務を検討--

 

 日本IR協議会(会長=隅修三・東京海上ホールディングス取締役会長)は11月20日、「情報開示と対話のベストプラクティスに向けての行動指針(案)~フェア・ディスクロージャー・ルールを踏まえて~」を公表した。

 IR協議会では、2018年4月施行予定の「フェアディスクロージャー・ルール」(FDルール)に対応して「上場企業が公平・適時・適切な情報開示を継続し、株主・投資家と建設的な対話をするベストプラクティス」に向けて、今年4月に「フェア・ディスクロージャー研究会」(座長=北川哲雄・青山学院大学大学院教授)を立ち上げて検討してきたものである。

 IR協議会によると、本指針は、FDルールをひとつの契機として、

  1. ① IR活動のさらなる健全な発展を図ること
  2. ② 上場企業と資本市場との建設的対話の促進をより一層図ること

を目的としたものであり、情報開示の萎縮や対話機会の縮小が引き起こされないように意識して策定したとしている。

 本指針は、「全体を通じて、開示と対話における留意点や企業の状況に応じて導入を検討することが望ましい実務等」を具体的に示したものとなっている。本指針の主な内容は以下のとおりである。

 

◯ 4つの基本原則

  1. 【基本原則1】 法令に基づく一貫した情報開示姿勢
    --FDルールの目的を理解し、ルールが定める「取引関係者」に伝達された重要情報は同時または速やかに公表すること

  2. 【基本原則2】 建設的対話の促進
    --情報を積極的に開示し、投資家等への説明を充実させて建設的対話を促進すること

  3. 【基本原則3】 情報アクセスの公平性向上(エクイタブル・アクセス)
    --機関投資家、アナリスト、個人投資家、市場関係者等の間の情報アクセスの公平性に努めること

  4. 【基本原則4】 コーポレート・ガバナンス推進の一環としての情報開示方針(ディスクロージャーポリシー)の策定
    --自社のコーポレート・ガバナンス推進の一環として「ディスクロージャーポリシー」を策定し、適切な行動のための指針とすること

 本指針では、この基本原則によって、企業がどの情報をどのような機会で開示し対話すべきかを判断する一助となる考え方を示している。

 

◯ 主要情報ごとの対応方針

 企業が資本市場に発信・公表する主要な情報ごとに、FDルールの対象となる「重要情報」に該当するか、あるいは単独では重要情報とならない「モザイク情報」と考えられるか、また、それらの情報をどのような領域で扱うことが適切かなどを示している。

 本指針の「別紙2 主要情報ごとの建設的対話の対応方針について」では、以下のように情報を分類して、考え方や望ましい実務対応を示している。

 1 インサイダー情報(金商法上の未公表の重要事実)
 2 将来の業績や企業価値を予測するための情報(将来情報)
 2-1 公表前の決算に関わる情報
 2-2 業績予想
 2-3 事業・地域等のセグメントごとの業績見通し情報
 2-4 中期経営計画等、経営計画に関する情報
 3 開示した業績数値に関する情報(過去情報)
 4 資本政策を念頭に置いた配当等、株主還元に関する情報、基礎となるキャッシュフローの配分情報
 5 新製品や新規技術開発等に関する情報
 6 ESGに関する情報

 

◯「情報アクセスの公平性」に関して対応を検討することが望ましいもの

 1 ウェブサイト等を通じた情報開示の検討

  1. ⑴ 決算発表資料や説明会資料等とその要点など
  2. ⑵ 長期の経営ビジョンや中期経営計画、事業戦略等に関する説明会資料等やその要点
  3. ⑶ 投資家等向けの各種の説明会、個人投資家向け説明会、株主総会等の資料やその要点
     

 2 投資家等との対話に当たって留意する事項の検討

  1. ⑴ 日本証券業協会がアナリスト向けガイドラインで「取材等しないこととする」と定めている情報についての取扱い
  2. ⑵ 業績予想に関する情報について、

    1. ① 修正の有無が未確定な段階では厳格に管理する旨 及び
    2. ② 決算期が近づくなどしてアナリストの業績予想コンセンサスと比較した業績進捗への関心が高い場合、関連する情報の確度が高まった段階で適切に判断して適時開示等の手続で速やかに公表する旨
  3. ⑶ 投資家等からの面談要望に対し、不当に差異を設けないための体制整備やアナリストの独立性に不当な影響を及ぼす行為を行わない旨
  4. ⑷ 経営層が投資家等と対話する「スモールグループミーティング」や海外機関投資家等を対象とする「カンファレンス」等や「1対1ミーティング」ではモザイク情報等を活用する旨。企業規模の拡大や事業環境の変化等を鑑みて、市場と共有すべき情報についてはアクセスの公平性の観点からどのように開示していくかの検討

 

  1. ○ IR協議会、「情報開示と対話のベストプラクティスに向けての行動指針(案)~フェア・ディスクロージャー・ルールを踏まえて~」を策定(11月20日)
    https://www.jira.or.jp/activity/guiding.html
  2. ○ ニュースリリース
    https://www.jira.or.jp/file/topics_file1_53.pdf
  3. ○ 情報開示と対話のベストプラクティスに向けての行動指針(案)
    https://www.jira.or.jp/file/topics_file2_53.pdf
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