経産省、「データ契約ガイドライン検討会」を開催
−−「データの利用権限に関する契約ガイドラインver1.0」の全面的な改訂に向けて−−
経済産業省は12月8日、「データ契約ガイドライン検討会」(座長=渡部俊也・東京大学政策ビジョン研究センター教授)の第1回会合を開催した。
経産省では、事業者間でデータの利用権限が明確となっていないためにデータ流通が進まないという課題を解決するため、5月30日に「データの利用権限に関する契約ガイドラインver1.0」を公表していたところである(後掲参照)。今般、経産省は、契約によるデータの適切な利用やAIに係る責任関係・権利関係を含む法的問題への対応、さらには関連する知的財産に関する問題の整理等、下記の項目の調査・検討を行うとともに、これらの検討等を踏まえて同ガイドラインの改訂を行うため、本年12月から来年3月末まで、「データ契約ガイドライン検討会」を開催することとしたものである。
◯主な検討項目
- • データやAIの利用・共用のための事業者間における契約モデルや契約条件の整理
- • 事業者間のデータ共用のための個別取引やビジネスモデル等の深掘り、ユースケースの充実化等
なお、同検討会の下には、弁護士等の専門家から構成されるワーキンググループ「データ契約ガイドライン検討会作業部会」を設け、事業者から持ち込まれるユースケースを基にデータやAI活用に係る契約での取決め方法等を具体的に検討し、同ガイドラインの改訂案を作成することとしている。
◯「データの利用権限に関する契約ガイドラインver1.0」の概要
(1) 目的
事業者間の契約においてデータの利用権限を公平に取り決めるための手法や考え方を示す。各企業の契約交渉担当や契約締結業務担当のほか、データ利活用に関心のある人に広く活用してもらうことを期待している。
(2) ガイドラインの対象
ガイドラインは、あらゆる事業者の契約において、当該契約に基づく取引に関連して創出されるあらゆるデータに関する権限を定める際に活用されることを想定。
(3)「データの選定」と「利用権限の決定」
- ① データの選定
- 利用権限を定める対象となるデータについて、取引関連性と利活用可能性の観点から選び出し、当事者で協議のうえカタログ化等を実施するにあたっての手法やプロセスを示す。
- ② 利用権限の決定
- 利用権限を適正かつ公平に定めるために着目すべき考慮要素と、要素ごとの考え方および当事者が各要素に照らして主張し、必要に応じて取引内容・取引条件を調整するための手法を示す。
(4) 適用例
- ① 製造会社が、工作機械メーカーから購入した工作機械を、ソフトウェアベンダから購入したミドルウェアを用いて工場内で稼働させ、稼働データを創出させている場合
- ② 製造会社が自社データをサービス提供事業者に提供し、AI分析等によるサービスを受け、分析データを創出させている場合
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経産省、「データ契約ガイドライン検討会」を開催しました(12月11日)
http://www.meti.go.jp/press/2017/12/20171211001/20171211001.html -
◯ 経産省、「データの利用権限に関する契約ガイドラインVer1.0」を策定しました(5月30日)
http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170530003/20170530003.html