SH4467 新たな著作権法改正が成立(未管理公表著作物等に関する裁定制度の創設等) 後藤未来/鷲見彩奈(2023/06/01)

取引法務特許・商標・意匠・著作権

新たな著作権法改正が成立
(未管理公表著作物等に関する裁定制度の創設等)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 後 藤 未 来

弁護士 鷲 見 彩 奈

 

1 はじめに

 文化審議会著作権分科会法制度小委員会(以下「本委員会」という。)による検討を経て、2023年3月、「著作権法の一部を改正する法律案」が国会に提出され[1]、同年5月17日に成立した(以下「本改正法」という。)[2]。本改正法は、大きく以下の3つの内容から構成される。

 

①  著作物等の利用に関する新たな裁定制度の創設等

②  立法・行政における著作物等の公衆送信等を可能とする措置

③  海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直し

 

 本改正法の詳細は筆者らの別稿[3]にゆずり、本稿では、本改正法のうち、制度の新設という点で特に注目される①について、その概要を整理した上で、実務上想定され得る論点等について考えてみたい。

 

2 2つの裁定制度の概要

 現行法の下では、著作権者と連絡することができない場合、文化庁長官の裁定を受け、かつ使用料相当額の補償金を供託することで、裁定にかかる利用方法により利用することができる(現行著作権法67条1項)。本改正法では、現行の裁定制度に改正を加えつつ(以下、本改正法により改正された裁定制度を「第一裁定制度」という。)、新たに「未管理公表著作物等」を利用する場合の裁定制度を設けることとしている(以下、本改正法により新設された裁定制度を「第二裁定制度」という。)。

 両裁定制度のポイントを纏めると下表のようになる(筆者ら別稿より再掲)。

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(ごとう・みき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。

(すみ・あやな)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2014年東京大学法科大学院卒業。2015年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主な取扱い分野は、知的財産法、個人情報保護法。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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