2025年米国HSR法届出基準および取締役兼任規制基準の改正
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 臼 杵 善 治
外国法事務弁護士[1] 池 田 武 義
弁護士 本 郷 あずさ
1 はじめに
2025年1月10日、米国連邦取引委員会(以下「FTC」という。)は、ハート・スコット・ロディノ法(以下「HSR法」という。)に基づく企業結合届出の届出基準およびクレイトン・反トラスト法(以下「クレイトン法」という。)に基づく競合企業間の取締役兼任規制の適用基準等を改正することを公表した[2] [3]。企業結合の届出基準と取締役兼任規制の適用基準はいずれも金額基準であるところ、法定の基準額をベースとして、毎年国民総生産(GNP)に従って改正されることが法律上定められており、例年1月下旬ごろに改正内容が公表される。今回公表された改正は以下で詳述するとおり、いずれも昨年の基準額を引き上げるものであった。
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(うすき・よしはる)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。
2003年慶應義塾大学法学部卒業。2006年慶應義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(第一東京)。2015年University of London, LL.M. in Competition Law修了。
公正取引委員会による審査手続対応、海外当局による調査手続対応、国内外の競争法当局に対する企業結合届出のサポート、競争法コンプライアンスマニュアル作成・競争法コンプライアンストレーニング、流通取引規制に関するアドバイス、景品表示法対応等の多数の案件を取り扱っている。
(いけだ・たけよし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル。HSR申請、M&A、訴訟、民事・刑事調査に関する米国一般訴訟および反トラスト法案件において幅広く助言を行っており、その実績は米国で15年以上に及ぶ。州司法長官、連邦取引委員会、米国司法省による政府調査や審査におけるクライアントの代理も務めている。また、日本の公正取引委員会、韓国の公正取引委員会、欧州委員会など、国内外の反トラスト当局に対応する企業を支援した経験も有する
(ほんごう・あずさ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2016年名古屋大学法学部卒業。2018年名古屋大学法科大学院卒業。2019年弁護士登録。2021年大阪弁護士会へ登録換え。主な取扱業務は、競争法、国際通商及び経済安全保障、サステナビリティ法務、海外法務等。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用