米政府、Adobe等8社との間で責任あるAI開発に向けた自主的規制について合意
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 中 崎 尚
ホワイトハウスは、2023年9月12日付けで、米国を拠点とする人工知能(AI)開発企業8社(Adobe、Cohere、IBM、Nvidia、Palantir、Salesforce、Scale AI、Stability)から、AI技術の安全、安心、信頼できる開発を促進するための自主的なコミットメントの第2ラウンドを確保したことを発表した。[1]
1 これまでの経緯
2023年5月、ホワイトハウスは、AIイノベーションの最前線に立つ4つの米国企業(Google、Anthropic、Microsoft、OpenAI)のCEOを招集し、その責任を強調するとともに、個人と社会に対するリスクと潜在的な危害を軽減するセーフガードを備えた、倫理的なイノベーションを推進することの重要性を強調した。企業の要請を受けて、ホワイトハウスはサイバーセキュリティの脅威とベストプラクティスに焦点を当てた会議を開催した。
2023年6月、バイデン大統領は、AIがもたらす機会を捉え、リスクを管理するためのコミットメントの一環として、サンフランシスコで一流の専門家や研究者と会談した。
2023年7月、ハリス副大統領は消費者保護、労働、公民権のリーダーを招集し、AIに関連するリスクについて話し合い、米国民を被害や差別から守るというホワイトハウスのコミットメントを再確認した。
2 7社によるコミットメント(2023年7月)
2023年7月21日、ホワイトハウスは、AIによるリスクを管理するための取り組みとして、Amazon、Anthropic、Google、Inflection、Meta、Microsoft、OpenAIのAI大手7社をホワイトハウスに招集し、これら企業がAI開発においてリスクの軽減に向けた諸原則について賛同を得たと発表した。[2]具体的には、「製品リリース前の十分な安全性の検証」「セキュリティ第一のシステム構築」「社会的な信頼の確保」の3点をAI開発における共通原則と位置づけるものであった。
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(なかざき・たかし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
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