SH4862 文部科学省、「教育データの利活用に係る留意事項(第2版)(案)」に関する意見募集を実施 井上乾介/山田智希/氏原裕美(2024/03/21)

取引法務個人情報保護法

文部科学省、「教育データの利活用に係る留意事項
(第2版)(案)」に関する意見募集を実施

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 井 上 乾 介

弁護士 山 田 智 希

弁護士 氏 原 裕 美

 

1 はじめに

 教育委員会や学校における教育データの利活用の実践が進む中、2024年3月4日、文部科学省は、2023年3月に公表された「教育データの利活用に係る留意事項(第1版)」(以下「本留意事項」という。)の改定案である「教育データの利活用に係る留意事項(第2版)(案)」(以下「本改定案」という。)[1]を公表し、本件に関する意見募集を開始した。本改定案においては、教育委員会・学校における利用に資するよう、現行の本留意事項に、具体的な事例に則して留意点を示した「事例編」が追加されている。意見募集は2024年3月18日まで行われた。

 本稿では、個人情報保護法の仕組みや教育データの特徴を踏まえた上で、本改定案の概要について紹介する。なお、本留意事項および本改定案においては、特に初等中等教育段階の公立学校における児童生徒の教育・学習に関するデータの取扱いが念頭に置かれていることから、本稿においても「教育データ」を同様の意味を指す用語として用いることとする。

 

2 教育データの利活用に関するこれまでの議論

 教育データとは、児童生徒の教育・学習に関するデータ(デジタルデータ)全般を指すものであり、その内容によって、以下のように区分されることが多い。

  1. ① 児童生徒数や教職員等の情報等、行政職員や教職員が取り扱う行政系データ
  2. ② 学籍情報や出席簿等、学校運営に必要な児童生徒に関するデータであり、教職員が学校・学級の管理運営、学習指導、生徒指導、生活指導等に活用する校務系データ
  3. ③ 学習記録やアンケート回答結果等、ワークシートや学習ドリル、アンケート等の学習に関するデータであり、教職員や児童生徒が日々の学校における教育活動において活用する学習系データ

 こうした教育データの利活用は、子供が興味のある分野を掘り下げるなど学びを広げることができたり、教師がきめ細かい指導・支援に生かすことができたりするなど、学校現場および教育行政において大きな意義があるものとして注目を集めてきた。

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(いのうえ・けんすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。

 

(やまだ・ともき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。文部科学省勤務を経て、2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。国内外のM&A、LBOファイナンス、敵対的買収防衛、インセンティブ報酬等の企業法務一般に加え、個人情報、教育関連案件を中心に関与している。

 

(うじはら・ゆみ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2022年慶應義塾大学法学部卒業。2023年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

 

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<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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