SH3656 経産省、国際的なデータ移転・活用に関する企業アンケート結果を公表 井上乾介(2021/06/14)

取引法務個人情報保護法

経産省、国際的なデータ移転・活用に関する
企業アンケート結果を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 井 上 乾 介

 

1 はじめに

 2021年5月31日、経済産業省は、国際的なデータ移転・活用に関する企業アンケート結果を公表した[1]。日本政府は、デジタル経済の健全な発展のためには国際的に信頼ある自由なデータ流通を確保していくことが必要であるとの観点から、「信頼ある自由なデータ流通(Data Free Flow with Trust:DFFT)」というコンセプトを提唱している[2]。一方で、世界的なトレンドとして、データの越境移転規制やローカライゼーション要求等にかかわる規制を検討、導入する国も増えつつある[3]。そこで、国際的なデータ移転に関するわが国の企業活動の現状を調査すべく、本アンケートが実施された[4]

 本アンケートには、製造業を中心とした幅広い業種の日本の上場企業50社から回答を得たが、そのスコープは概ね以下のとおりである[5][6]

  •  海外におけるデータの取得・活用の状況
  •  海外からのデータの越境移転の状況
  •  企業における各国の規制に対する対応状況

 本記事では、本アンケート結果についての経産省の報告を紹介した上で、今後の方向性や現状に各企業がどのように対処すべきなのかについてどのような示唆が含まれているのかを簡単に述べる。

 

2 アンケート結果

 ⑴ データの活用・越境移転の状況について

 アンケートでは、対象企業に対し、海外においてデータを取得し、それを活用した製品・サービスの競争力向上のための取組みを行っているか、またデータを活用している場合には、活用に伴うデータの越境移転を行っているかについて質問した。

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(いのうえ・けんすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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