公取委、王子ネピアに対して下請事業者への
「不当な給付内容の変更」を巡り勧告
――下請法4条2項4号違反、資材仕入代金・運送料・保管料・廃棄費用・人件費相当額が支払われる――
公正取引委員会は2月15日、王子ネピア(本店・東京都中央区、王子ホールディングス〔東証プライム市場上場〕の100%子会社)が下請事業者1名に対して当該事業者が製造に必要な資材等を確保して納品の意思表示を行っているにもかかわらず発注の一部を取り消すことにより当該事業者において既に手配していた資材の仕入代金を負担することとなったなど下請代金支払遅延等防止法4条2項4号(不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止)に違反する行為が認められたとし、同法7条3項に基づき同日、王子ネピアに対して勧告を行ったと発表した。
王子ネピアでは同日付「公正取引委員会からの下請代金支払遅延等防止法に関する勧告について」と題する発表において顧客・取引先・関係者への謝罪を表明。併せて(1)同社が一部商品の製造を委託していた下請事業者に対して発注数量の変更を行った行為が下請法に違反すると判断されたこと、(2)本勧告で認定された給付内容の変更により下請事業者が負担することとなった費用に相当する金額については既に支払いを完了していること、(3)勧告内容について役員・従業員への周知徹底を図るとともに下請法遵守の社内研修を実施、コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めていくことを述べている。
公取委において「下請法の執行強化」が取組みの柱となっているところ、今般の事案は下請法に基づく勧告として2023年度中5件目。本年度中の事案としては公表順にノジマ(2023年6月29日公表。以下同様)、サンケン電気(11月30日)、伊藤軒(12月22日)、メタルテック(2024年1月23日)に対する勧告に続くものとなった。違反の類型別にみると、同法4条1項3号「下請代金の減額の禁止」違反が上記「ノジマ」「伊藤軒」「メタルテック」と5件中3件に及ぶ(うち「伊藤軒」に対しては同項4号「返品の禁止」が付加)。「サンケン電気」では4条2項3号「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」違反につき「型」の無償保管を巡るものとしては2023年3月16日公表「岡野バルブ製造」に対する勧告に続く2件目となり、注目された(SH4721「公取委、下請事業者への金型無償保管など「不当な経済上の利益の提供要請」を巡りサンケン電気に勧告 ――2件目となる「型」無償保管要請事案、公取委では厳正な対処とともに改めての周知など啓発活動の方針を表明(2023/12/06)」既報)。
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公取委、王子ネピア株式会社に対する勧告について https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/feb/240215_Ojinepia.html
王子ネピア、公正取引委員会からの下請代金支払遅延等防止法に関する勧告について https://www.nepia.co.jp/company/notice/notice20240215.pdf