SH4933 シンガポール:被用者への退職後の競業避止義務(Non-Compete Clause)に関する最新の議論状況(上) 金田聡(2024/05/20)

そのほか労働法

シンガポール:被用者への退職後の競業避止義務(Non-Compete Clause)に関する最新の議論状況(上)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士  金 田   聡

 

はじめに

 被用者への競業避止義務は、Non-Compete Clause(シンガポールではRestraint of Trade Clauseの一分類)とも呼ばれ、一般に、雇用期間中又は雇用契約の終了後における当該被用者の競合他社への転職などの行為を制限することを目的として雇用契約中に規定されることが多く、シンガポールも例外ではない。

 かかる競業避止義務については、2023年1月に、米国の連邦取引委員会(FTC)が、使用者が被用者に競業避止義務を課すことを禁止する新たな規則を提案したことが世界的にも注目を集めたが(当該規則案についてはNO&T Competition Law Update No.17参照)、シンガポールにおいては、2023年4月に、労務事項の所管官庁であるMinistry of Manpower(MOM)が、被用者への競業避止義務の取扱いに係るガイドラインの策定を検討中である旨を公表したことから、議論の動向が注視されているところである。

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(かねだ・さとし)

長島・大野・常松法律事務所シンガポールオフィス所属。2012年京都大学法学部卒業、2014年京都大学法科大学院修了、2015年長島・大野・常松法律事務所入所。その後、2022年University of Pennsylvania Law School修了(LL.M. with Wharton Business & Law Certificate)、Shearman & Sterling LLP(NY)勤務を経て、2023年10月よりシンガポールオフィス勤務。入所以来、M&A・企業組織再編に携わっており、現在は、アジア地域を中心とするクロスボーダーM&A・ジョイントベンチャー案件その他国際企業法務に広く従事している。

 

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長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

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