SH4965 EU理事会、AI規則を採択 中崎尚(2024/06/06)

そのほか新領域

EU理事会、AI規則を採択

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 中 崎   尚

 

1 はじめに

 2024年5月21日、EU理事会(Council of the EU)は、「AIに関する整合的規則(AI規則)の制定および関連法令の改正に関する欧州議会および理事会による規則」(REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL LAYING DOWN HARMONISED RULES ON ARTIFICIAL INTELLIGENCE (ARTIFICIAL INTELLIGENCE ACT) AND AMENDING CERTAIN UNION LEGISLATIVE ACTS)(以下「AI規則」という。)を採択(承認)し、これによりAI規則の成立が確実となった[1]。 官報掲載の20日後に発効、発効の24か月経過後にほぼ全面的に施行される予定である。本記事では、AI規則のポイントと日本企業への影響を紹介する。

 なお、AI規則については、近々刊行予定の拙著『生成AI法務・ガバナンス』(商事法務、2024)において、詳細な解説を行っているので、そちらも参照されたい。

 

図表1 AI規則の施行スケジュール
官報掲載日 2024年6月中の見込み
20日後 AI規則の発効
6ヵ月後 第1編(総則)および第2編(禁止AI)
12ヵ月後 第3編第4章、第5編(一般目的AIモデル)、第7編(ガバナンス)、第12編(罰則)および78条(101条を除く)
18ヵ月後 post-market monitoring(市場投入・使用開始後のモニタリング)の実装行為(implementing act)
24ヵ月後 その他の条項
36ヵ月後 6条1項およびこれに対応する義務(高リスクAIシステムに対する義務)

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(なかざき・たかし)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。

 

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