内閣官房による「紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応」および消費者庁による「機能性表示食品を巡る検討会報告書」の公表の概要について
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 石 原 坦
弁護士 谷川原 淑 恵
1 はじめに
内閣官房は、令和6年5月31日、小林製薬株式会社の紅麹を使用した機能性食品(3製品)に生じている健康被害を踏まえ、紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合(第2回)において、「紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応」[1]を取りまとめて公表した。同文書は、I. 今回の事案を踏まえた当局の対応、II. 今回の事案を踏まえた今後の対応、III. 今回の事案を踏まえた更なる検討課題の3章から成る。このうちII. 今回の事案を踏まえた今後の対応の内容は、消費者庁において設置された「機能性表示食品を巡る検討会」が同月27日付けで取りまとめて公表した報告書[2]の提言内容を概ね踏襲する形となっている。特に、現行の機能性表示食品制度の運用が、主として「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」(平成27年3月30日付け消食表141号消費者庁食品表示課長通知。以下「機能性表示食品ガイドライン」という。[3])により行われていたところ、その違反に対して法令に基づく指示・命令や立入検査などの必要な行政措置を講ずることができるか必ずしも明確になっていなかった点を踏まえて、今後は食品表示法(平成25年法律70号)および食品衛生法(昭和22年12月24日法律233号)上に機能性食品の届出者に対する義務を明記し、遵守しない場合には法令に基づく行政措置を講ずることを可能とする方針で議論が整理された。
本稿では、紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合から公表された「紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応」のうち、主に「II. 今回の事案を踏まえた今後の対応」の概要を紹介する。
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(いしはら・ひろし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。1997年東京大学経済学部卒業、2000年弁護士登録、2004年慶應義塾大学法学部卒業、2005年米国コロンビア大学ロースクール修了(LL.M.)、2006年カリフォルニア州弁護士登録、2007年ニューヨーク州弁護士登録。また、日本銀行及び総合商社への出向経験を有する。主要な業務分野は、国内及びクロスボーダーのM&A、ヘルスケア・薬事規制。『医薬・ヘルスケアの法務 - 規制・知財・コーポレートのナビゲーション』(商事法務)、『実務で役立つ 世界各国の英文契約ガイドブック』(商事法務)等の著書多数。
(たにがわら・よしえ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2009年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2011年早稲田大学大学院法務研究科修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)。2020年米国University of Pennsylvania Carey Law School (LL.M.) 修了。2021年米国ニューヨーク州弁護士登録。グローバル製薬会社での企業内弁護士経験を有し、ライフサイエンス・ヘルスケア分野の法務を専門として、製薬や医療機器に関する国内及びクロスボーダー取引(M&A、知財ライセンス、業務提携・アライアンス等)、薬機法等の各種規制対応、訴訟・紛争解決を取り扱う。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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