「知的財産推進計画2022」(6月3日公表)に示された著作権関連制度の改革の方向性(デジタル時代のコンテンツ戦略を中心に)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 鷲 見 彩 奈
1 はじめに
内閣に設置されている知的財産戦略本部は、2022年6月3日、「意欲ある個人・プレイヤーが社会の知財・無形資産をフル活用できる経済社会への変革」との副題の下、「知的財産推進計画2022」(以下「本計画」という。)を発表した[1]。
本計画では、日本のイノベーションが依然として低迷しており、日本の知財エコシステムが十分にイノベーションに貢献できていない等の問題認識を踏まえ、以下の8項目が重点施策として整理されている。
スタートアップ・ |
知財・無形資産の投資・ |
標準の戦略的活用の推進 |
デジタル社会の実現に向けたデータ流通・ |
デジタル時代のコンテンツ戦略 |
中小企業/地方(地域)/農林水産業分野 |
知財活用を支える制度・運用・人材基盤 |
アフターコロナを見据えた |
このうち、特に「デジタル時代のコンテンツ戦略」については、2023年通常国会への著作権法の改正法案の提出も計画されており、近い将来の実務への具体的な影響が予想される。そこで、以下では、デジタル時代のコンテンツ戦略に関する著作権法改正の議論に焦点を当てて、その内容を概観する。
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(ごとう・みき)
弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。弁護士・ニューヨーク州弁護士。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。京都大学理学部卒業・東京大学大学院工学系研究科修了・神戸大学法科大学院修了・スタンフォード大学ロースクール卒業(LL.M.)。特許・営業秘密等の知的財産やシステム開発・製造物責任等の技術関連の紛争処理、データ・インターネット関連案件を得意とする。
(すみ・あやな)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2014年東京大学法科大学院卒業。2015年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主な取扱い分野は、知的財産法。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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