中国:EUの外国補助金調査の近況と中国の関税法改正(下)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 鹿 はせる
3 EUの中国EVメーカーに対する補助金保護規則に基づく調査
前述のFSRに基づく中国企業への調査とは別に、2023年10月4日に、ECは中国から欧州に輸入されるバッテリー式電気自動車(BEV)について、EU域外国からの補助金を受けた輸入品に対する保護に関する2016年6月8日付欧州議会・理事会規則(以下「補助金保護規則」)に基づく反補助金調査を開始している。
補助金保護規則は、同様に外国補助金に対する規制であることから、FSRと混同されることがあるが、FSRとは別の、アンチダンピング措置に関する貿易管理法令である。同規則は、①輸入品がEU域外国からの補助金により利益を享受していること、②EU域内企業が実質的な損害を受けたこと、③②の損害と補助金を受けた輸入との間に因果関係があること、④措置を講じることがEUの利益に適合することを要件として、調査により当該各要件を満たす場合は、いわゆる補助金相殺関税を課すことができる。
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(ろく・はせる)
長島・大野・常松法律事務所東京オフィスパートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法科大学院修了。2017年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)。2018年から2019年まで中国大手法律事務所の中倫法律事務所(北京)に駐在。M&A等のコーポレート業務、競争法業務の他、在中日系企業の企業法務全般及び中国企業の対日投資に関する法務サポートを行なっている。
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