SH5116 インド:日本企業への影響はあるか?――インドにおけるSBO報告に関する義務違反に基づく制裁(1) 山本匡(2024/09/27)

組織法務経営・コーポレートガバナンス

インド:日本企業への影響はあるか?
――インドにおけるSBO報告に関する義務違反に基づく制裁(1)――

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 山 本   匡

 

1 はじめに

 インドの登記局(Registrar of Companies)は、2024年5月22日付命令により、米国のMicrosoft CorporationのCEOであるSatya Nadella氏、米国のLinkedIn CorporationのCEOであるRyan Roslansky氏、ならびにインドのLinkedIn Technology Information Private Limitedおよび同社の取締役らに対して制裁を科した。また、登記局は、同年6月12日付命令により、Samsung Display Noida Private LimitedおよびSamsung SDI India Private Limitedならびに両社の取締役らに制裁を科した。これらの制裁は、いずれも、制裁対象者が、インド会社法(Companies Act, 2013)第90条に規定される重要な実質的支配者の報告制度(SBO報告制度)に関する義務に違反したと登記局が認定したことによる。これらの命令の射程範囲によっては、たとえば、日本企業が出資しているインドの会社やその取締役等が制裁対象になったり、インドの会社に出資している日本企業の代表取締役等の個人が制裁対象となったりする可能性があるなどの影響があり得る。本稿では、7回の連載により、インドのSBO報告制度、およびLinkedIn Technology Information Private Limitedのケースの概要に触れる。本稿において、意見にわたる部分は執筆者の個人的な見解であり、執筆者が所属する組織の見解を示すものではない。

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(やまもと・ただし)

2003年弁護士登録。2009年から2017年にかけて、インド・シンガポールで勤務。2015年からヤンゴンにて随時執務。新興国を中心に海外進出、各種リーガル・サポートに携わっている。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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