SH5120 三ッ星の株式に関する大量保有報告書等の不提出等に対する課徴金納付命令の決定 生方紀裕/野村直弘(2024/10/01)

組織法務ディスクロージャー金商法違反対応(インサイダー等)

三ッ星の株式に関する大量保有報告書等の不提出等に対する
課徴金納付命令の決定

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 生 方 紀 裕

弁護士 野 村 直 弘

 

1 はじめに

 金融庁は、2024年8月28日、株式会社三ッ星(東証スタンダード市場上場。以下「三ッ星」という。)の株式に関する大量保有報告書または変更報告書(総称して、以下「大量保有報告書等」という。)の不提出または虚偽記載(以下「本法令違反」という。)をした株式会社シンシア工務店(以下「シンシア工務店」という。)、大量保有者Aおよび株式会社和円商事(以下「和円商事」という。)の3名(総称して、以下「本件違反者」という。)に対し、それぞれ、課徴金の納付を命ずる決定(総称して、以下「本決定」という。)を行ったことを公表した[1]。証券取引等監視委員会から内閣総理大臣および金融庁長官に対して、同年6月28日に課徴金納付命令を発出するよう勧告が出されたことを受けたものである。

 大量保有報告制度の違反に関して課徴金納付命令が出されたのは約10年ぶりということもあり、市場関係者から注目されている。

 本稿では、大量保有報告制度の概要や運用状況を確認した上で、本決定の概要と本法令違反が生じる背景となった事案を紹介し、金融商品取引法(以下「金商法」という。)の2024年改正も踏まえた実務上の留意点を述べる。

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(うぶかた・のりひろ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2006年東京大学法学部卒業。2007年弁護士登録(第二東京)。2013年ミシガン大学ロースクール修了(LL.M., in International Taxation)。2013年~2014年豪州ブリスベンのClayton Utz法律事務所勤務。2016年~2024年早稲田大学法務教育研究センター講師(租税法担当)。主に、株主総会指導、敵対的買収防衛、アクティビスト株主対応を含む一般企業法務、M&A及び商事訴訟などを取り扱う。

 

(のむら・なおひろ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2013年東京大学法学部卒業。2015年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主に、コーポレート、M&A、人事・労務、紛争解決に関する業務を広く取り扱う。プロボノ活動にも注力している。

 

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