SH5149 金融庁、「顧客本位の業務運営に関する原則」(改訂版)を公表 三宅章仁(2024/10/18)

組織法務経営・コーポレートガバナンス

金融庁、「顧客本位の業務運営に関する原則」(改訂版)を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 三 宅 章 仁

 

1 はじめに

 2024年9月26日、金融庁は、同年7月2日に公表した「顧客本位の業務運営に関する原則」(改訂案)に対するパブリックコメントの結果(以下「パブコメ回答」という。)とともに、同原則の改訂版(以下「改訂版原則」という。)を公表した[1]

 改訂版原則は、2017年3月に策定され、2021年1月に改訂された「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下「原則」という。)に、プロダクトガバナンスに関する補充原則(以下「補充原則」という。)を追加するものである。「プロダクトガバナンス」とは、「顧客の最善の利益に適った商品提供等を確保するためのガバナンス」と定義されており、補充原則は、金融商品の組成に携わる金融事業者(組成会社)を名宛人とするものである。もとより、原則は、広く金融事業者を名宛人とするものであり、今回の改訂前からも、特に組成会社向けには、商品の組成に当たり、商品の特性を踏まえて、販売対象として想定する顧客属性を特定すべきとの原則を提示していた(原則6、注3)。しかし、金融商品の販売会社では、時として、収益獲得を最優先した顧客本位ではない販売行動が引き続き見受けられる一方、組成会社においても、顧客の最善の利益に適った商品提供等を確保するためのガバナンス(プロダクトガバナンス)に引き続き課題があることが指摘されていた[2]。今回公表された改訂版原則は、組成会社に対し、プロダクトガバナンスの構築・実施を促すものである。

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(みやけ・あきひと)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。1998年東京大学法学部卒業。2000年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2007年米国ヴァージニア大学ロースクール(LL.M.)修了。国内外における各種投資ファンドの組成・募集・販売、金融商品取引業の登録支援、金融商品取引業者に対する規制・監督上の観点からの助言など、資産運用ビジネスに関する法務全般を得意分野とする。

 

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