米FTC、消費者に損害を与える欺瞞行為・不公正行為に
AIを利用する複数社を提訴
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 中 崎 尚
弁護士 佐 藤 重 男
1 はじめに
米連邦取引委員会(Federal Trade Commission。以下「FTC」という。)は、不公正または欺瞞的な行為または慣行(unfair or deceptive acts or practices)を規制する米FTC法(Federal Trade Commission Act)5条(a)項等に基づき、不適切にAIを利用する企業を摘発してきた[1]。他方、FTCは、ビジネスブログ記事等において、繰り返し、AI規制の考え方を示してきた[2]。
FTCは、2024年9月25日、新たな一斉摘発「Operation AI Comply」の一環として、消費者に損害を与える欺瞞行為・不公正行為にAIを利用したとされる複数社を提訴した(以下「本件提訴」という。)と発表するとともに[3]、本件提訴に関するビジネスブログ記事を公表した[4]。これらは、FTCのAI規制の考え方を理解する上で参考になるものである。
本稿では、本件提訴を概観する。
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(なかざき・たかし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、国内外のインターネット・IT・システム関連を中心に、個人情報保護・プライバシー(ヘルスケア・遺伝子を含む)、サイバーセキュリティ、AI・メタバース・宇宙衛星をはじめとする先端分野、経済安全保障、電波法・電気用品安全法ほか技術分野、EUサイバーレジリエンス規制ほか海外コンプラインアンス対応、クロスボーダー取引、知的財産案件(著作権・商標・ライセンス・共同開発)、ベンチャー支援を幅広く取り扱うほか、AI事業者ガイドラインWGほか経済産業省・総務省・内閣府ほか政府の有識者委員を多数歴任するとともに、個人情報保護委員会の各種調査を受託しております。インターネット関連では、SNS・クラウド・メタバース・オンラインゲームほかの各種サービス立ち上げ・海外進出支援、ドメイン紛争、セキュリティを中心に、個人情報保護法、資金決済法、プロバイダ責任制限法、電気通信事業法ほか各種業法規制への対応、IT・システムでは、システム開発、セキュリティ、オープンソースを含むプログラム紛争を中心にサポートしております。
日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、内閣府メタバース官民連携会議委員、AI事業者ガイドラインWG 委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。
「生成AI法務・ガバナンス 未来を形作る規範」「Q&Aで学ぶメタバース・XRビジネスのリスクと対応策」「Q&Aで学ぶGDPRのリスクと対応策」(いずれも商事法務)ほか講演・執筆多数。
(さとう・しげお)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2014年東京大学法学部卒業。2015年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2023年ニューヨーク大学ロースクール(LL.M. in International Business Regulation, Litigation and Arbitration)修了。2024年ニューヨーク州弁護士登録。紛争解決、個人情報・データ保護等を取り扱う。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用