米政府、AIと人権に関するリスク管理Profile等を公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 出 野 智 之
1 はじめに
2024年7月26日、米政府は、「FACT SHEET: Biden-Harris Administration Announces New AI Actions and Receives Additional Major Voluntary Commitment on AI」と題するアナウンスを行った[1]。
米国では、2023年10月30日に「AIの安全、安心、信頼できる開発と利用に関する大統領令(Executive Order on the Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence)」[2](以下「本大統領令」という。)が発令され[3]、これに基づき、各政府機関により様々な取組みが行われてきた[4]。また、本大統領令は、AI分野をリードする企業からの「自発的な誓約(voluntary commitment)」を取り付けることを基礎としており、昨年中に15の企業(Amazon、Anthropic、Google、Inflection、Meta、Microsoft、OpenAI等)が「自発的な誓約」を行ったとされる。
今回のアナウンスでは、本大統領令の発令を受けて各政府機関が講じた措置がまとめられており、また、AIに関するガイドライン等が追加公表されている。また、新たにApple社から、本大統領令への「自発的な誓約」を取り付けたとされる。
本稿では、上記のうち、2024年7月25日に米国国務省(Department of State)により公表された「AIと人権に関するリスク管理プロファイル(Risk Management Profile for Artificial Intelligence and Human Rights)」[5](以下「AIと人権Profile」という。)の概要を紹介する。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(いでの・ともゆき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2003年京都大学農学部卒業。特許庁で特許審査等に従事。2011年筑波大学法科大学院修了。2017年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2023年University of Southern California(LL.M.)修了。2024年ニューヨーク州弁護士登録。主な取扱い分野は、知的財産法。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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