ベトナム:電子署名に関する新しいルール(上)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 中 川 幹 久
1 はじめに
契約を締結するにあたり、署名者が手書きで署名した契約書の写しをPDFファイルで電子メールに添付して相手方と相互に送付し合って交換をし、あるいは、電子化された署名をシステム上で付記した契約書を電子的に送付し合って契約締結手続を行うケースは、実務上、特にコロナ禍も一つのきっかけとなり、一定の頻度で見かけるようになった。ベトナムでは、こうした契約締結場面での実務運用にも関連するルールを定めた電子取引に関する法律第20/2023/QH15号(以下「新法」)が今年6月22日に成立し、7月1日に施行されている。新法は、これまで電子取引に関して規定してきた法律51/2005/QH11号(以下「旧法」)に置き換わる法律であり、電子署名を巡る枠組みに関し、旧法の下での枠組みを一部変更している。本稿では、新法のうち、実務的にも関心が高いと思われる、こうした電子署名に関するルールについて概要をご説明する。
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(なかがわ・もとひさ)
長島・大野・常松法律事務所ホーチミンオフィス代表。1999年慶応義塾大学法学部法律学科卒業。2003年第一東京弁護士会登録。2009年 Stanford Law School(LL.M.)卒業。2009年~2010年Pillsbury Winthrop Shaw Pittman LLP(ニューヨーク)勤務。2011年11月から約2年半、アレンズ法律事務所ホーチミンオフィスに出向。ベトナム赴任前は、M&Aその他の企 業間取引を中心とした企業法務全般にわたるリーガルサービスを提供し、現在は、ベトナム及びその周辺国への日本企業の進出及び事業展開に関する支援を行っている。
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