SH5342 米政権によるFCPAの執行等の一時停止とガイドラインの見直し 早瀨孝広/山田智希(2025/03/06)

公益通報・腐敗防止・コンプライアンス

米政権によるFCPAの執行等の一時停止とガイドラインの見直し

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 早 瀨 孝 広

弁護士 山 田 智 希

 

1 はじめに

 米国の外国腐敗行為防止法[1](以下「FCPA」という。)は、外国公務員への賄賂に対する規制として1977年に世界に先駆けて制定されて以降、その広範な規制対象と当局による積極的な摘発により、米国内外問わず世界のグローバル企業が念頭に置くべきルールと認識されてきた。

 そうした中、ドナルド・トランプ大統領は、2025年2月10日から180日間、司法長官がFCPAに基づく調査や執行措置に関するガイドラインを見直し、その間新たな調査や執行措置の開始を原則として停止する旨の大統領令[2](以下「本大統領令」という。)に署名した。

 日本を含む各国のグローバル企業にとって、こうしたFCPAの運用にかかわる動向は注目すべき事項であると思われることから、本稿ではFCPAの背景および概要、本大統領令の背景および概要、ならびに今後の展望について簡単に整理することとしたい。

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(はやせ・たかひろ)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2009年早稲田大学大学院法務研究科修了。2010年弁護士登録(第二東京)。2017年ハーバード・ロースクール(LL.M.)修了、2017-2018年米国Pillsbury Winthrop Shaw Pittman法律事務所(ロサンゼルス)勤務。2018年ニューヨーク州弁護士登録。国内及びグローバルのインセンティブ報酬の導入・運用等を含むコーポレート案件を中心に取り扱う。

 

(やまだ・ともき)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所シニア・アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。文部科学省勤務を経て、2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2024年英国King’s College London, University of London (LL.M.)。コーポレートガバナンス・グローバルコンプライアンス、国内外のM&A・組織再編のほか、宇宙・航空・海洋分野を中心とする国際法・国際取引法関連や地方自治体関連案件に積極的に取り組んでいる。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。

<連絡先>
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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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