著作権法等改正法の一部の10月1日施行に伴って著作権法施行令・施行規則が改正
――リーチサイト対策関係、改正著作権法上の「ウェブページ」等を規定――
著作権法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第284号)、著作権法施行規則の一部を改正する省令(令和2年文部科学省令第31号)が9月16日、公布された。先の通常国会で成立した「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」(令和2年6月12日法律第48号。以下「著作権法等改正法」という)の一部が10月1日に施行されることに伴って関係政省令が整備されたものである。
著作権法等改正法によっては、(A)著作権法の改正により、インターネット上の海賊版対策の強化として(1)リーチサイト対策、(2)侵害コンテンツのダウンロード違法化といった措置が講じられたほか、(3)写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大、(4)行政手続に係る権利制限規定の整備(地理的表示法に基づく地理的表示の登録関係および種苗法に基づく植物の品種登録関係)、(5)著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入、(6)著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化、(7)アクセスコントロールに関する保護の強化が図られ、また(B)プログラム登録特例法の改正により、(8)プログラムの著作物に係る登録制度の整備がなされたところである(改正法案の閣議決定と成立後の公布について、SH3077 海賊版対策の強化等を内容とする著作権法改正法案が閣議決定される 冨田雄介(2020/03/27)参照、SH3199 改正著作権法・プログラム登録特例法が公布、改正項目ごと2020年10月・2021年1月の2段階で施行へ――ストリーミング形式の海賊版サイトはなお課題も衆・参とも全会一致で可決・成立 (2020/06/16)既報)。
改正法の施行期日は原則2021年1月1日であるが、上記1・3・4・5の改正項目については本年10月1日に施行するものとされ、文化庁著作権課では8月21日、施行に向け、上記1のリーチサイト対策に関係する著作権法施行令・著作権法施行規則の改正案の概要を公表し、9月6日まで意見募集を行った。その結果は9月16日、改正政省令の公布と合わせて公表されており、期間中4件の意見が寄せられたという。
改正法により、リーチサイト等は「公衆を侵害著作物等に殊更に誘導するものであると認められるウェブサイト等」(改正後の著作権法113条2項1号イ)、「主として公衆による侵害著作物等の利用のために用いられるものであると認められるウェブサイト等」(同項1号ロ)などと定義された。今般の政省令改正は、改正後の著作権法113条4項に「前2項に規定するウェブサイト等とは、送信元識別符号のうちインターネットにおいて個々の電子計算機を識別するために用いられる部分が共通するウェブページ(インターネットを利用した閲覧の用に供される電磁的記録で文部科学省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の集合物(当該集合物の一部を構成する複数のウェブページであつて、ウェブページ相互の関係その他の事情に照らし公衆への提示が一体的に行われていると認められるものとして政令で定める要件に該当するものを含む。)という」と規定されたことを受け、この113条4項中において①文部科学省令で定めることとされた「ウェブページ」の内容、②政令で定めることとされた「ウェブサイトの一部を構成する複数のウェブページに関する要件」を確定するものである。
上記①について具体的には、改正後の著作権法施行規則25条が「法第113条第4項の文部科学省令で定める電磁的記録は、HTMLその他の記号及びその体系で作成された電磁的記録で送信可能化されたものであつて、インターネットを利用した閲覧の際に、一の送信元識別符号によつて特定された一のページとして電子計算機の映像面に表示されることとなるものをいう」と規定された。
同様に上記②については、改正後の著作権法施行令66条が次のア・イのウェブページのいずれをも含むことを規定している。(ア)当該複数のウェブページに共通する性質を示す名称の表示その他の当該複数のウェブページを他のウェブページと区別して識別するための表示が行われているウェブページ、(イ)当該複数のウェブページを構成する他のウェブページに到達するための送信元識別符号等を一括して表示するウェブページその他の当該複数のウェブページの一体的な閲覧を可能とする措置が講じられているウェブぺージ。
なお、これら以外の改正点として、著作権法施行令においては新67条、著作権法施行規則では新4条の4にそれぞれ形式的修正が施された。