SH3328 消費者庁、将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針(案)を公開、パブリックコメントの募集を開始 松田貴男(2020/10/01)

取引法務表示・広告規制

消費者庁、将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針(案)を公開、パブリックコメントの募集を開始

岩田合同法律事務所

弁護士 松 田 貴 男

 

 2020年9月18日、消費者庁は、将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針(案)(「執行方針案」)を公開し、パブリックコメントの募集を開始した(意見受付締切りは10月21日)。

 

1 現行ガイドラインの内容及び執行方針案策定の経緯

 将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示(「将来価格二重表示」)とは、例えば、この商品は来月から価格を5,000円と(高く)する予定なので今月中に(今の低い価格である)3,000円のうちに購入しませんか、と表示する価格表示方法である。[1]

 不当景品類及び不当表示防止法(「景表法」)上、販売価格について一般消費者に実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく有利であると誤認される表示は不当表示として禁止されている。

 不当な価格表示に関しては、2000年6月30日に「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(「価格表示ガイドライン」)が策定・公表され、将来価格二重表示については以下の表1の記載があるが、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示の記載や例に比べれば、詳細なものとはいえない。

 

表1【価格表示ガイドラインにおける将来価格二重表示に関する記載内容】
ガイドライン該当箇所 記載内容(抜粋)
2(1)イ(基本的考え方)    販売当初の段階における需要喚起等を目的に、将来の時点における販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがある。 
 このような二重価格表示については、表示された将来の販売価格が十分な根拠のあるものでないとき(実際に販売することのない価格であるときや、ごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないときなど)には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
 将来の価格設定は、将来の不確定な需給状況等に応じて変動するものであることから、将来の価格として表示された価格で販売することが確かな場合(需給状況等が変化しても表示価格で販売することとしている場合など)以外において、将来の販売価格を用いた二重価格表示を行うことは、適切でないと考えられる。
2(2)イ(不当表示に該当するおそれのある表示)    セール期間経過後も販売価格を引き上げる予定がないにもかかわらず、又はセール期間経過後ごく短期間しか表示された価格で販売しないにもかかわらず、セール期間経過後の将来の販売価格を比較対照価格に用いること。
(事例)
 A衣料品店が、「婦人ブラウス お試し価格4,800円 ○月○日以降は6,000円になります」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、○月○日以降も4,800円で販売するとき。

 

 そこで、消費者庁の執行方針を示すことにより、将来価格二重表示についての予見可能性を向上させ、一般消費者を誤認させるような方法で行われることを未然防止するため、執行方針案が作成され、パブリックコメントに付された。[2]

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