SH3377 消費者庁、第1回 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会 池田彩穂里/高亮(2020/11/10)

組織法務公益通報・腐敗防止・コンプライアンス

消費者庁、第1回 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会

アンダーソン・毛利・友常法律事務所

弁護士 池 田 彩穂里
弁護士 高     亮

 

 2020年6月12日に成立し公布された改正公益通報者保護法(令和2年法律51号、同日から2年以内の政令に定める日に施行予定)では、事業者に対し、公益通報に適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとること(改正法11条2項)および、これらの必要な措置をとる業務に従事する者(公益通報対応業務従事者)を定めること(改正法11条1項)が義務付けられた(なお、常時する労働者数が300名以下の事業者については、改正法11条3項により努力義務とされている。)。

 上記の改正法11条1項および2項に基づき事業者が取るべき措置については、追って内閣総理大臣が指針を定めるものとされている(改正法11条4項)ところ、消費者庁は、2020年10月19日、この指針等に関する第1回の検討会を開催した。なお、今後、このような検討会を5~6回程度重ねた上で、令和3年春頃を目途に結論を得ることが予定されている[1]

 

1 第1回検討会の内容

 第1回検討会では、検討会の今後の進め方および次項に述べる検討事項に関する協議がなされるとともに、一部上場企業の人事担当者等の関係者からのヒアリングが実施された。

 

2 検討事項

 第1回検討会で協議された主な事項は、以下のとおりである[2]。なお、これらの事項については第2回以降の検討会で継続して協議されることが予定されているため、引き続きその動向を注視することとしたい。

 

⑴ 公益通報対応業務従事者の定めに関する事項

公益通報対応業務従事者(以下「従事者」という)として定めなければならない者の範囲 従事者として定めなければならない者の範囲をどのように設定するか。
常時ではなく、臨時に調査等の公益通報対応業務を行う者について、従事者として定める必要はあるか。例えば、公益通報窓口を所管する部署から依頼を受けて臨時に調査を担当する職員など。
公益通報受付窓口を経由しない公益通報に対応する者も従事者として定める必要はあるか。例えば、上司など職場内で公益通報を受ける可能性のある者全てを対象とする必要があるか。
公益通報に係る調査や是正等の業務を行う者であるものの、公益通報者を特定させる情報を公益通報受付窓口から知らされない者についても、従事者として定める必要はあるか。

 

従事者を定める方法

従事者を定める方法について、従事者の氏名を列挙する、従事者となる役職を列挙するなどのほか、どのようなものが考えられるか。
従事者を定める際に、従事者の範囲について、従事者になる者自身又は他の役職員にとって明らかになるように定める又は伝達する必要はあるか。

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(いけだ・さおり)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2005年東京大学法学部卒業。2007年東京大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(所属弁護士会)。2015年UCLA・ロースクール(LLM)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。主な業務分野はコーポレート、労働法及びライフサイエンス。

 

(こう・りょう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2008年早稲田大学法学部卒業。2011年京都大学法科大学院卒業。2012年弁護士登録(第一東京弁護士会)。同年高井・岡芹法律事務所入所。2020年当事務所入所。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 https://www.amt-law.com/

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