◇SH3398◇内閣府が押印手続の「見直し方針」を公表、99%超が廃止も83手続は存続方向で検討中――雇用保険法施行規則関係で9件、商業登記関係・供託関係で各6件などが存続へ (2020/11/25)

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内閣府が押印手続の「見直し方針」を公表、
99%超が廃止も83手続は存続方向で検討中

――雇用保険法施行規則関係で9件、商業登記関係・供託関係で各6件などが存続へ――

 

 内閣府は11月13日、法令・告示または慣行により国民・事業者等に対して押印を求めている行政手続を見直す各府省の検討状況に関し、9月24日付で行った照会に対する各府省からの回答を取りまとめ、公表した。

 公表は(1)押印を存続する方向で検討している行政手続、(2)押印を求める行政手続の見直し方針(根拠別集計)、(3)各府省の行政手続における押印の見直し方針一覧の3種の資料によってなされており、これらのうち見直し方針を概観できる資料(2)によると、見直しの対象となった全数は14,992件。うち「廃止済み・廃止決定」が5,198件、「廃止の方向」が9,711件となり(以下、両者を「廃止方針」という)、合わせて14,909件(99.4%)に上る。

 廃止方針である14,909件の内訳を件数の多い順にみると、(ア)告示・省令の様式(に押印の根拠があるもの。以下同様):6,332件(全数6,350件、廃止率99.7%)、(イ)法令・告示の根拠なし:6,021件(全数6,030件、廃止率99.9%)(ウ)告示・省令に明文の根拠:1,224件(全数1,249件、廃止率98.0%)、(エ)法律に明文の根拠:1,200件(全数1,204件、廃止率99.7%)、(オ)政令に明文の根拠:132件(全数159件、廃止率83.0%)である。「法律に様式」または「政令に様式」があることをもって押印を求める根拠とする手続は皆無であった。

 一方、存続方向となっている83件の内訳をみると(以下、押印の種類別内訳を付記する)、(a)政令に明文の根拠:27件(印鑑証明付:27件)、(b)告示・省令に明文の根拠:25件(印鑑証明付:11件、登記印・登録印:14件)、(c)告示・省令の様式:18件(印鑑証明付:1件、登記印・登録印:17件)、(d)法令・告示の根拠なし:9件(印鑑証明付:1件、登記印・登録印:8件)、(e)法律に明文の根拠:4件(印鑑証明付:1件、登記印・登録印:3件)であった。押印の種類別にまとめると、存続方向の83件のうち印鑑証明付:41件、登記印・登録印:42件となる。

 また、存続方向83件を所管府省別にみると、(A)厚生労働省:22件、(B)法務省:21件、(C)財務省:17件、(D)総務省:15件、(E)国土交通省:8件となった(上記・資料(1)参照。本資料には「存続させる理由」に関する説明も記載されている)。

 以下、存続方向の手続をより具体的にみると、(A)厚労省関係22件においては多い順に、①雇用保険法施行規則関係:9件、②確定拠出年金法・同法施行規則関係:5件、③中小企業退職金共済法・同法施行規則関係:3件などとなっている。上記①のうち5件の手続はいずれも「告示・省令の様式」に押印の根拠があり、かつ「労働者が申請する」ものであるが「事業主の証明により支給要件を満たすことを確認する必要があり、その真正性を担保するため」のものである。

 存続件数が次いで多い(B)法務省関係の手続は、①商業登記法・商業登記規則関係:6件、①供託法・供託規則関係:6件、③動産・債権譲渡特例法(平成10年法律第104号)および動産・債権譲渡登記令関係:5件、④不動産登記法関係:1件、④会社法関係:1件、④立木ニ関スル法律関係:1件、④矯正医官修学資金貸与法関係:1件の計21件。

 たとえば、商業登記法・商業登記規則関係では「印鑑の提出」「印鑑カードの交付の請求等」「電子証明書による証明の請求」「電子証明書の使用の廃止の届出」「電子証明書の使用の再開の届出」「識別符号の変更」の6件の手続について、また、供託法・供託規則関係では「供託の申請、供託物の払渡請求」「供託金の保管替えの請求」「供託金利息の払渡請求」「供託有価証券の利札の払渡請求」「供託に関する書類の閲覧請求」「供託に関する事項の証明請求」の6件の手続について、さらに、動産・債権譲渡特例法/動産・債権譲渡登記令関係では「債権譲渡登記等の申請」「債権譲渡登記事項概要証明書等の交付請求」「動産譲渡登記等の申請」「動産譲渡登記事項概要証明書等の交付請求」「登記申請書等の閲覧」の5件の手続について、そのほとんどのケースが「存続の方向で検討中」とされている。うち、商業登記関係「電子証明書による証明の請求」の手続、供託関係「供託の申請、供託物の払渡請求」の手続、動産・債権譲渡関係「債権譲渡登記等の申請」「債権譲渡登記事項概要証明書等の交付請求」「動産譲渡登記事項概要証明書等の交付請求」の3手続に関しては、とくに「(押印を)廃止することは困難」と表明した。

 なお、法務省関係の手続中、会社法関係は「商業・法人登記の申請」に係る1件。また、(C)財務省の17件は税法やその施行令に係るもの、(D)総務省の15件は政党助成・政党交付金関係および電波利用料口座振替納付申出書関係、(E)国交省の8件は小型船舶および自動車の各登録関係となっている。

 

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