財務省、「令和3年度税制改正(案)のポイント」
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 下 尾 裕
1 はじめに
財務省は、令和3年2月初旬に、「令和3年度税制改正(案)のポイント」を公表した。このリーフレットは、先だって閣議設定された「令和3年度税制改正の大綱」(令和2年12月21日閣議決定)および「所得税法等の一部を改正する法律案」(令和3年1月26日閣議決定)の各内容を整理したものである。
令和3年税制改正(以下「本改正」という。)においては、企業向けの改正項目として、コロナウイルス感染症の拡大下(コロナ禍)における企業の経営改革、業務のデジタル化および中小企業支援等をそれぞれ主眼においた改正が多く予定されている。
以下においては、本改正における企業向けの改正項目のうち重要なものをいくつかを取り上げてその概要を解説する。
なお、本改正については、適用開始日に関し特段の説明があるものを除き、施行日は令和3年4月1日となることが予定されている。
2 法人課税
⑴ デジタルトランスフォーメーション(DX)促進税制の創設
デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革を促進するため、主務大臣の確認を受けた一定のDX計画(事業適応計画)に基づいて行われるクラウド技術を活用したハード・ソフトのデジタル関連設備投資につき、最大5%の税額控除または特別償却(30%)を認める2年間の時限措置が創設される予定である。
本改正は、政府が現在推進する「デジタル化」の誘導策として、他社と全社レベルでデータ連携するソフトウエアの設備投資を税制面で後押しするものである。
⑵ カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設
現在、政府においては、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」に向けた取組みが進められている。これを踏まえ、本改正においては、カーボンニュートラルの実現に向けて、企業の脱炭素化投資を加速するため、脱炭素効果の高い先進的な投資について、最大10%の税額控除または特別償却(50%)を認める3年間の時限措置が創設される予定である。
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(しもお・ゆたか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所)スペシャル・カウンセル。2004年京都大学法学部卒業。2006年弁護士登録(大阪弁護士会)。2012年7月~2014年7月東京国税局(調査第一部調査審理課 国際調査審理官)勤務。税務、ウェルスマネジメントおよび紛争解決を中心に、一般企業法務を広く取り扱う。
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