SH3878 厚労省、多様化する労働契約のルールに関する検討会(第10回)を開催――多様な正社員の雇用ルール等に関する論点を議論 福地拓己(2022/01/14)

そのほか労働法

厚労省、多様化する労働契約のルールに関する
検討会(第10回)を開催
――多様な正社員の雇用ルール等に関する論点を議論――

岩田合同法律事務所

弁護士 福 地 拓 己

 

1 はじめに

 規制改革実施計画(令和元年6月閣議決定)[1]において、令和2年度中にジョブ型正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化について検討を開始することとされたことを踏まえ、厚生労働省の多様化する労働契約のルールに関する検討会(以下「本検討会」という。)は、多様な正社員の雇用ルールの明確化等について検討を行っている。今般、本検討会第10回が開催され、本検討会第9回までの議論を踏まえた多様な正社員の雇用ルール等に関する論点についての資料が公表されたことから、その内容について解説する[2] [3]

 

2 「多様な正社員の雇用ルール」の論点

 本検討会が検討の対象とする「多様な正社員」とは、職務、勤務地、労働時間が限定された正社員を意味する。このような「多様な正社員」は、無期転換ルールによって無期雇用となった社員の重要な受け皿の1つとして期待されるところ、その雇用ルールの明確化のため、本検討会はこれまでに図1のとおり論点を設定し、検討を進めてきた。

 

<図1>[4]

 (1) 総論

  1.  ア  「いわゆる正社員」と「非正規雇用の労働者」の働き方の二極化を緩和し、労働者一人ひとりのワーク・ライフ・バランスと、企業による優秀な人材の確保や定着の実現のため、職務、勤務地又は労働時間を限定した多様な正社員の普及を図ってきたが、労使双方に対する効果や課題をどう考えるか。また、労使双方にとって望ましい形で更なる普及・促進を図るためには、どのような対応が考えられるか。
  2.  イ 多様な正社員の限定の内容の明示に関し、「雇用管理上の留意事項」の策定や導入事例の周知などにより周知を行ってきたが、限定された労働条件が明示的に定められていない場合や、限定されていた労働条件が変更される場合もある中で、紛争の未然防止や予見可能性の向上のために、限定の内容の明示等の雇用ルールの明確化を図ることをどう考えるか。
  3.  ウ 多様な正社員か否かにかかわらずいわゆる正社員であっても何らかの限定があると言える場合もありうるところ、いわゆる正社員についても念頭において検討することについてどう考えるか。

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(ふくち・たくみ)

岩田合同法律事務所弁護士。2014年早稲田大学法学部卒業。2016年一橋大学法科大学院卒業。2017年弁護士登録、高井・岡芹法律事務所勤務(~2020年)。著作には、『2020年版 年間労働判例命令要旨集』(共著、労務行政、2020年)、『判例解説 解雇・懲戒の勝敗分析』(共著、日本加除出版、2020年)がある。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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