SH3930 総務省、「AIを用いたクラウドサービスに関するガイドブック」の公表 井上乾介/安田達士(2022/03/08)

そのほか新領域

総務省、「AIを用いたクラウドサービスに関するガイドブック」の公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 井 上 乾 介

弁護士 安 田 達 士

 

1 はじめに

 総務省は、令和2年度に人工知能(AI)を用いたクラウドサービスに関する調査研究を実施し、学識経験者、弁護士、事業者等有識者からなる検討会およびワーキンググループにおける検討を踏まえ、令和4年2月15日付でクラウドサービス事業者が、AIクラウドサービスの開発および提供の際に留意すべき事項をまとめた「AIを用いたクラウドサービスに関するガイドブック」(以下「本ガイドブック」という。)を公表した[1]

 本稿では、本ガイドブックの概要を紹介し、実務への若干の示唆について述べる。

 

2 本ガイドブックの背景・目的

 現在、クラウドサービス事業者において、AIの活用によるサービスの付加価値向上を目指す取組みが活発化しつつあり、今後もAI機能を用いたクラウドサービス(以下「AIクラウドサービス」という。)の更なる進展が期待される[2][3]

 他方で、AIクラウドサービスの提供に当たっては、以下の課題が指摘されている。

  1. ・ 提供者においてAIの出力結果の精度等を利用者に約束することが難しいケースが多く、利用者にとっても、自身がリスクを負うサービスの導入には慎重にならざるを得ない
  2. ・ 利用者からの信頼獲得とトラブル発生の防止の観点において、提供者は、AIの特性を踏まえつつ、自社のサービスの機能にかかる性質や責任を利用者に正しく理解させる必要があるが、1つのサービスに多数の利用者が紐付くクラウドサービスにおいて、適切かつ効果的な情報提供の在り方が不明確である

 そこで、本ガイドブックは、以下の2つを目的として作成された。

  1. ① AIクラウドサービスの効果的・効率的な実現方法について具体的な開発の流れを体系的に整理するとともに、開発の各プロセスにおいて開発者が留意すべき点をまとめて提示すること。
  2. ② クラウドサービス事業者が利用者にAIクラウドサービスを提供する際に、利用者の信頼を獲得しつつ市場を拡大していくために推奨される自主的な取組みを提言すること。

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(いのうえ・けんすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。

 

(やすだ・たつし)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2008年早稲田大学大学院卒業(修士(理学))。電機メーカーで知的財産業務に従事。2017年弁護士登録(第二東京弁護士会)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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