SH3950 「中小企業活性化パッケージ」の概要 粟田口太郎/樋口政隆(2022/03/23)

取引法務担保・保証・債権回収

「中小企業活性化パッケージ」の概要

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 粟田口 太 郎

弁護士 樋 口 政 隆

 

1 はじめに

 中小企業は、日本の企業数の99.7%、雇用の7割を占めるが、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として経営状況が芳しくない状況にある中小企業も少なくないものと思われる。

 2022年3月4日、中小企業庁・金融庁・財務省は、「中小企業活性化パッケージ」を公表した。これは、①「コロナ資金繰り支援の継続」、②「中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援」という2つの柱によって構成されている。

 また、同日、中小企業の事業再生等に関する研究会は「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を、経営者保証に関するガイドライン研究会は「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」を、それぞれ公表した。

 本稿は、これらを概観しようとするものである。

 

2 「コロナ資金繰り支援の継続」について

 ⑴ セーフティネット保証4号の期限延長

 セーフティネット保証4号の指定期間(中小企業者の住所地を管轄する市区町村長に対する認定申請の期限)が、2022年3月1日から同6月1日に延長された。セーフティネット保証4号とは、新型コロナウイルス感染症により売上高等が減少している中小企業・小規模事業者の資金繰り支援措置として、信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の100%を保証する制度である(概要は下表のとおり)。

※経済産業省の公式サイト[1]から引用

 ⑵ 政府系金融機関による実質無利子・無担保融資、危機対応融資の継続等

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況が悪化している事業者に対する実質無利子・無担保融資、危機対応融資(概要は下表のとおり)の融資期間が15年から20年に延長され、申請期限も2022年6月末まで延長された。

※経済産業省の公式サイトから引用

 ⑶ 日本政策金融公庫の新型コロナ対策資本性劣後ローンの継続

 日本政策金融公庫の「新型コロナ対策資本性劣後ローン」(概要は下表のとおり)が、2022年度末まで継続されることとなった。本制度による資本性劣後ローン債務は、裁判所により法的倒産手続の開始決定がされた場合に原則としてすべての債務に劣後するものとされ、民間金融機関の資産査定上、自己資本とみなすことができるものとされている。

※経済産業省の公式サイトから引用

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(あわたぐち・たろう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2002年弁護士登録(東京弁護士会)。会社法務、金融法務、事業再生・倒産法務に横断的に従事。ABL協会理事・運営委員長、武蔵野大学大学院法学研究科(ビジネス法務専攻)特任教授。

 

(ひぐち・まさたか)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2016年早稲田大学法学部卒業。2018年弁護士登録。倒産分野、労働分野を中心に担当し、M&Aの領域や証券発行の領域の案件等も幅広く担当している。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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