三者協議によるData Act(データ法)の
暫定合意と欧州のデータ戦略
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 中 崎 尚
1 Data Actとは
Data Actの正式名称はRegulation on harmonised rules on fair access to and use of data であるが、通常Data Actと呼称されるため、本稿でもData Actの呼称を採用する。Data Actは、GDPRと同様に広範な域外適用の規定と高額の制裁金のメカニズムを有するため、日本企業の事業活動にも影響することが見込まれている。
2 欧州のデータ戦略とData Act
2020年2月に欧州委員会が公表した「欧州データ戦略」[1]では、「Data Governance Act(データガバナンス法)」(2020年11月法案公表、2022年6月23日制定)[2]や、「Data Act(データ法)」(2022年2月23日法案公表)[3]の構想を始めとした、包括的なデータ法制枠組の構築に向けた方向性が示されている。そこには、政府・企業・個⼈それぞれの関係性ごとのデータ共有の障壁を取り払い、より多くのデータ流通を実現していくための施策が含まれている。
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(なかざき・たかし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。
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アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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