SH3958 経産省、第1回サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会 龍野滋幹(2022/03/29)

組織法務サステナビリティ

経産省、第1回サプライチェーンにおける人権尊重のための
ガイドライン検討会

アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 外国法共同事業

弁護士 龍 野 滋 幹

 

1 本検討会設置の経緯

 経済産業省(以下「経産省」という。)は、サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会(以下「本検討会」という。)を設置することとし、その第1回を2022年3月9日に開催した。

 2011年の国連人権理事会において「ビジネスと人権に関する指導原則」[1](以下「国連指導原則」という。)が支持され、人権の尊重は、すべての企業に期待されるグローバルな行動基準であるとされている。

 それを受けて日本においても、政府が2020年10月に策定した「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」[2](以下「行動計画」という。)において、人権方針の策定、人権デュー・ディリジェンスの実施、苦情処理・問題解決制度等の救済メカニズムの構築を明示し、これらを行うことについての企業への期待を示している。また、日本経済団体連合会においても、企業行動憲章の第4条に人権経営尊重経営の規定を設けたことに続き、2021年12月には企業行動憲章実行の手引きの「第4章人権の尊重」を改訂するなど、民間においても、ビジネスにおける人権尊重の取組みが推進されてきた。

 もっとも、経産省と外務省が共同で実施した「日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取組状況のアンケート調査」(以下「本調査」という。)の結果(2021年11月30日付け公表)[3]を見ると、回答企業760社のうち、人権デュー・ディリジェンスを実施している企業は52%(392社)と半数強、さらに、そのうち、間接仕入先まで実施している企業は25%(99社)、販売先・顧客まで実施している企業は10ないし16%(38~62社)にとどまっており、これらの人権デュー・ディリジェンスを実施していない会社が理由として挙げたもののうち最も多かったのが「実施方法が分からない」(32%、122社)であった。

 実際、現状日本は主要7カ国(G7)で唯一、法制度や具体的な指針といった企業のよりどころがないため[4]、経産省において、検討会を立ち上げ、サプライチェーンにおける人権尊重のための業種横断的なガイドライン策定に向けて取り組むこととしたものである。

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アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2000年東京大学法学部卒業。2002年弁護士登録(第二東京弁護士会)、当事務所事務所入所。2007年米国ニューヨーク大学ロースクール卒業(LL.M.)、2008年ニューヨーク州弁護士登録、2007年~2008年フランス・パリのHerbert Smith法律事務所にて執務。2014年から東京大学大学院薬学系研究科・薬学部「ヒトを対象とする研究倫理審査委員会」審査委員。国内外のM&A、ジョイント・ベンチャー、投資案件やファンド組成・投資、AI・データ等の関連取引・規制アドバイスその他の企業法務全般を取扱っている。週刊東洋経済2020年11月7日号「「依頼したい弁護士」分野別25人」のM&A・会社法分野で特に活躍が目立つ2人のうち1人として選定。

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