SH3987 ミネベアミツミ、「社外取締役と機関投資家との対話」開催で質疑応答要旨を公開――初回開催となる昨年に続いて2回目、公開要旨も大幅に拡充 (2022/04/27)

組織法務経営・コーポレートガバナンス

ミネベアミツミ、「社外取締役と機関投資家との対話」開催で質疑応答要旨を公開
――初回開催となる昨年に続いて2回目、公開要旨も大幅に拡充――

 

 ミネベアミツミ(本店・長野県北佐久郡御代田町、東京本部・東京都港区。東京証券取引所プライム市場上場)は4月12日、「社外取締役と機関投資家との対話(オンライン形式)を実施いたしました」と発表し、3月24日に開催した社外取締役と機関投資家とのスモールミーティングに関する質疑応答要旨を公開した。

 同社は前年・2021年3月29日にも同様の発表を行っており、この際には「このたび当社として初となる社外取締役と機関投資家との対話(オンライン形式)を実施いたしましたので、質疑応答要旨をご紹介します」と説明したうえ、同年3月17日開催の「対話」の概況を質疑応答要旨として公開した。本年の開催・質疑応答要旨公開は前年に続いて2回目ということになり、会社側の出席者の構成は若干異なるものとしている。公開された質疑応答要旨そのものも前年は9問のやりとりを3頁分に収める体裁であったところ、本年は7頁分を用いて14問のやりとりを収載するものとなった。

 同社発表やウェブサイト上の記載、2021年末更新のコーポレートガバナンス報告書などによると、同社は執行役員制度を導入している監査役会設置会社で、任期1年・12名の取締役を擁する取締役会はうち5名を社外取締役で構成する(5名全員を独立役員として指定)。取締役会の諮問機関として指名・報酬委員会を設置しており、半数以上を独立社外取締役とするとされるその構成は(i)筆頭独立社外取締役で裁判官の経験を有する弁護士を委員長・議長とし、(ii)唯一の社内取締役となる代表取締役会長兼社長執行役員(CEO & COO)、(iii)独立社外取締役・国際経済学教授、(iv)独立社外取締役・経営コンサルタント・ビジネススクール教授、(v)独立社外監査役・弁護士といった5名からなる。

 今般の質疑応答要旨によれば、参加機関投資家は8社・9名。会社側の出席者は昨年と同じく3名で、①取締役専務執行役員(CFO、東京本部長兼経営管理・企画部門長兼サステナビリティ推進部門長兼経営管理部長)、②上記(i)の筆頭独立社外取締役、③上記(iii)の独立社外取締役(①・②の2名は昨年も出席)。機関投資家側の質問は「社外取締役と機関投資家との対話」の名称どおり社外取締役に向けられており、質疑応答要旨上、上記①の社内取締役による回答・補足はみられない。

 具体的な質問内容としては、掲載順に(1)就任経緯など、(2)取締役会議長を社長が務めていることについて、(3)取締役会において社外取締役が反対した議案、差戻しになった議案の有無、(4)M&A案件に関する社外取締役への情報提供など、社外取締役の関与の仕方、(5)個別の2案件に関する社内の議論状況、社外取締役として期待する効果、(6)取締役会の監督等のあり方、指名委員会等設置会社への移行について、(7)取締役会の実効性評価と現状、(8)ダイバーシティなどに関する直近の統合報告書の掲載内容を踏まえた同社の課題・注力点、(9)指名・報酬委員会の独立性を担保するために必要な措置、(10)役員賞与の指標に時価総額を加えた際の議論状況、(11)指名・報酬委員会の委員に社長が就任していることの影響など、社長の後継者計画について、(12)社外取締役の任期の適切性、兼務する会社数の上限に関する議論の有無、(13)事業ポートフォリオの見直しに対する関与の仕方、(14)同社の課題全般・解決策。

 質疑応答要旨からは本ミーティングの進行状況については判然としないものの、回答には上記②・③の社外取締役2名がそろって答えるもの、②の社外取締役のみが答えるもの、③の社外取締役のみが答えるものとがあり、②のみが答えた質問は上記2・3・6・9・11、③のみが答えた質問は4・7・8・10・12・13であった。

 質問5のような個別案件について、社外取締役2名それぞれが議論の視点、判断ポイントなどを具体的に明らかにしていく点はとくに印象深いものと捉えられ、出席した投資家からの「対話後のコメント」として「半導体工場取得、本部ビル取得について、社外取締役を含めたさまざまな角度からの検討があったうえでの決断であったことがよくわかった」とする声が紹介されている。質問8・14といった同社の課題に関するやりとりにおいては社外取締役として率直な見解が表明されているものと考えられ、機関投資家側にあっても「建設的な対話」となったであろうことが窺えるところだ。IRの姿勢や統合報告書による開示など、かねて外部の評価が高い同社における近時の取組みとし、このようなミーティングの開催、質疑応答要旨の公開についても是非参考とされたい。

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