知財高裁、国外サーバからのプログラム配信行為について
日本特許権の侵害を肯定
(ドワンゴ対FC2事件 控訴審)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 鷲 見 彩 奈
1 はじめに
知財高裁は、2022年7月20日、FC2, INC.および株式会社ホームページシステム(以下「FC2ら」という。)によるコメント機能付き動画配信サービスの提供に関し、米国内のサーバからのプログラム配信行為につき、株式会社ドワンゴ(以下「ドワンゴ」という。)が保有するプログラムの発明にかかる特許権侵害を肯定する判断を下した[1]。
本件は、ドワンゴが、その「ニコニコ動画」などのサービスに関連する複数の特許権に基づき、FC2らに対して提起した一連の特許権侵害差止等請求事件である。上記の知財高裁判決が下された事件では、ドワンゴが保有する「表示装置、コメント表示方法、及びプログラム」の発明にかかる2件の特許権の侵害が問われたものである(以下「第一事件」という。)。もう一つの事件では、ドワンゴが保有する「コメント配信システム」の発明にかかる特許権の侵害が問われている(以下「第二事件」という。)。両事件の対象特許、経過の概要は次のとおりである。
両事件の争点は多岐にわたるが、紙幅の都合上、本稿では、いわゆる「属地主義」に関連する争点に焦点を絞って、その概要を紹介する。
2 第一事件について
⑴ 事案の概要
第一事件の対象となったドワンゴの特許権のうち、特許第4734471号の請求項9に記載された発明(以下「本件発明1-9」という。)は次のとおりである。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(すみ・あやな)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2014年東京大学法科大学院卒業。2015年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主な取扱い分野は、知的財産法、個人情報保護法。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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