SH4209 プラットフォームサービスにかかる利用者情報の取扱いについて――外部送信における新たな法規制 井上乾介/山田智希/吉田崇裕(2022/11/22)

取引法務個人情報保護法

プラットフォームサービスにかかる利用者情報の取扱いについて
―外部送信における新たな法規制―

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業

弁護士 井 上 乾 介

弁護士 山 田 智 希

弁護士 吉 田 崇 裕

 

1 はじめに

 近年のインターネットやスマートフォンの普及により、大量のデータの送受信が活発化している中、プラットフォーム事業者による利用者情報の取得・収集が盛んになっている。利用者情報の活用によりサービスの利便性向上が期待される一方、通信の秘密やプライバシー保護の要請も強いところ、これらのバランスを確保しながらどのように利用者情報を取り扱うべきか、議論が進んでいる。

 そのような状況下で、2022年6月に成立し公布された改正電気通信事業法[1]は、同法27条の12(以下、同条を単に「改正法」という。)において、利用者情報を外部送信させる際は、利用者情報の内容等について通知または公表しなければならないと定めており、併せて対応する総務省令案の検討が進められている。

 電気通信事業分野における個人情報の保護については、これまで、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(以下「GL」という。)[2]およびその解説(以下「GL解説」という。)[3]が実務上の指針として参照されてきたところ、2022年11月4日、「プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ」(以下「WG」という。)は、改正法に関する総務省令の草案を前提としたガイドラインの解説案(以下「GL解説案」という。)[4]を公表した。改正法への対応の指針として有用な資料と考えられるため、本稿において紹介する。

 

2 WGの概要

 WGは、総務省による「プラットフォームサービスに関する研究会」の下に開催されるワーキンググループとして、プラットフォームサービスにかかる利用者情報の適切な取扱いの確保に向けて、最近の動向等を踏まえ、専門的な観点から検討することを目的として設置されたもので[5]プラットフォームサービスにかかる利用者情報の取扱いに関する論点整理[6]のほか、利用者情報の使用状況に関する事業者のモニタリング[7]やアプリケーションのプライバシーポリシー掲載状況の調査[8](下図)等を行っている。

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(いのうえ・けんすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。

 

(やまだ・ともき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。文部科学省勤務を経て、2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。国内外のM&A、LBOファイナンス、敵対的買収防衛、インセンティブ報酬等の企業法務一般に加え、個人情報、教育関連案件を中心に関与している。

 

(よしだ・たかひろ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2018年東京大学工学部卒業。2020年東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻修士課程修了。2022年弁護士登録(第二東京弁護士会)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

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