中国:貴社の中国拠点はいつまで使えますか(1)
中国における土地使用期限到来問題
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 鹿 はせる
はじめに
過去40年余りにわたって、日本企業は中国において工場、ホテルや百貨店等の工業・商業施設を展開するために期限付きの土地使用契約を締結してきた。80-90年代に締結された土地使用契約は、一部は既に、その他の多くも近い将来使用期間の終了を迎えることとなるが、その後土地使用契約を更新可能か、可能な場合もどういった条件で認められるかが、最近では日本企業の中国事業における重要な問題となっており、更新を断念して撤退した企業も散見される。背景としては、中国独自の土地利用制度とこの数十年で不動産価格が急上昇したことが挙げられるが、本稿では土地使用権の更新問題に関し、現行の法規制及び実務上の傾向・対策を概観する。
1 中国の土地使用権制度の概要
日本の土地私有制と異なり、中国においては、私人による土地の所有が認められていないため[1]、原則として、企業又は個人が土地を利用する場合には「土地使用権」の取得が必要である。土地使用権は大きく国有土地使用権と(農民の)集団所有土地使用権に分けられるが[2]、集団所有は基本的に農地に適用される制度であるため、日本企業が中国の都市部で土地使用権を取得する場合は、国有土地を取得することになる[3]。
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(ろく・はせる)
長島・大野・常松法律事務所東京オフィスパートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法科大学院修了。2017年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)。2018年から2019年まで中国大手法律事務所の中倫法律事務所(北京)に駐在。M&A等のコーポレート業務、競争法業務の他、在中日系企業の企業法務全般及び中国企業の対日投資に関する法務サポートを行なっている。
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