◇SH4240◇契約の終了 第23回・完 デジタルプラットフォームにおけるプラットフォーム提供者・利用事業者間の契約の終了(下) 芦野訓和(2022/12/16)

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契約の終了
第23回 デジタルプラットフォームにおける
プラットフォーム提供者・利用事業者間の契約の終了(下)

専修大学教授

芦 野 訓 和

 

(承前)

Ⅲ DPF提供者・DPF利用事業者間契約の終了の際に考慮すべき要素

1 継続的契約

 DPF提供者とDPF利用事業者との間のDPF利用契約は、多くの場合には、単に一回の給付を目的とするものではなく、DPF利用事業者がDPFを一定期間継続して利用し、その間に出品を行うことが想定されていることが通常であろう。たとえばAmazonでは、前述の「Amazonサービスビジネスソリューション契約」において、その契約は「サービス利用者が出品サービスの利用登録を完了した日に開始し、以下に定めるとおりAmazonまたはサービス利用者が本契約を終了させる日まで継続」すると規定している[27]。同様に、大手DPFである楽天市場では、楽天市場(DPF提供者)と出店者(DPF利用事業者)との間の規約において、「本契約の有効期間は、アカウント発行日から1年間とする。ただし、以下各号の事由をすべて満たした場合は、1年間延長されるものとし、以後も同様とする。(1) 期間満了の1ヵ月前までに甲または乙の一方から解約の意思表示がない場合、(2) 乙が、甲が別途定める「契約更新規約」に記載の条件を満たした場合」[28](楽天市場出店規約11条)と規定し[29]、長期間継続することも想定している。

 

2 継続的契約の終了に関する原則とその修正

 このような継続的契約関係は、解約申入れによって終了することが原則であり、一方当事者からの一方的な契約を終了させる意思表示により将来に向かって終了する。このほか、特別の事情による終了として「法定の原因にもとづく解消(債務不履行解除、個別規定による解除・解消、事情変更の原則による解除)」、「約定の原因にもとづく解消(約定解除権・解約権)」、「合意解除」がある[30]。ただし、これらの原則は、条文上更新拒絶に正当理由が求められる場合(借地借家法5条など)や、解約申入れに正当事由が求められる場合(借地借家法27条など)、解釈上単なる債務不履行では足りず信頼関係破壊を要する場合や「やむを得ない事由」などが求められる場合のように、修正されることも少なくない[31]。中田(裕)教授によれば、このような原則と修正の背後には、①合意の尊重、②長期契約の弊害防止、③契約関係の安定性の保護という諸理念の相克があり、継続的契約の終了をめぐる制定法や裁判においては、継続的契約の具体的内容に応じて、これらの理念の調和が求められることがあり、そしてその際には、契約自由を事後的に制限すると、その後に契約をする者の行動に影響をもたらす可能性があることから、解消の規律が及ぼす影響も考慮する必要があるからであるとされる[32]

 では。DPF提供者・利用者事業者間の契約の終了を検討するにあたってはどのような要素を考慮すべきか。

 

3 DPF利用契約の終了をめぐる考慮要素

 ⑴ 解約申入れによる終了とDPF利用事業者への配慮

 合意にもとづき契約が成立すると当事者は契約に拘束されることになるが、契約により当事者が永久に拘束されることは、当事者の合理的意思に反し、個人の自由に対する過度の制約という観点からも適切でない[33]ことから、前述の通り解約申入れによる終了が認められている。しかしながら、突然の解約申入れにより契約が終了することは、相手方に損害を及ぼすこともあり得るため、相当期間の予告を伴う解約申入れ、あるいは、解約申入れ後相当期間経過後に契約が終了することが原則であり、さらには「安定性の保護」により解消の要件が加重されたり、解消が信義則で制限されることがある[34]

 DPF提供者・利用事業者間の契約の終了を検討するにあっても、「安定性の保護」を検討する必要があろう。その際には、利用契約に対するDPF利用事業者の期待、さらには、DPF提供者・利用事業者間の格差についても配慮すべきであろう。というのも、DPFの多くは、GAFAなどの巨大企業が開設している一方で、DPF利用事業者の中には、実店舗を持たず特定のDPF上でのみ営業する事業者や、ほとんど個人事業者に等しく資金力・情報力がDPF提供者と比較して著しく乏しい事業者がいるなど、B to B取引であっても、自由で対等な取引とはいえない状況も考えられ、そのような場合には、DPF提供者からの終了をどこまで自由に認めるかを検討する必要があろう。

 ⑵ DPFの特徴からの考慮要素

 一方で、対象とする契約は、これまで行われてきた継続的契約とは異なる特性を持っていることから、その点についても考慮する必要がある。すなわち、DPF取引においては、複数の個別の契約関係が連携し、全体として複数の関与者が登場する一体的な取引になってきている。これを構成する要素のひとつである契約の終了を検討するにあたっては、個別の契約関係について従来の契約理論によりどのような解決が可能であるかを考察するとともに、その新しい特徴にも着目しながら行うことが有用であろう。前述Ⅱ2の特徴①②③からは、DPF提供者・利用事業者間の契約の終了は、購入者(多くの場合には消費者)にも影響を与えることは明らかである。この点は、一般的な継続的契約とは異なるところであり、その影響も考慮すべきである。また、上記でも指摘したことに関連するが、特徴④からは、DPF提供者がDPF利用事業者が特定のDPFに依存せざるを得ない状況を作り出している場合もあり、そのような者との契約を終了させることは、取引市場からの撤退を余儀なくすることにもなりかねないことから、その点も考慮すべきであろう。

 ⑶ DPF提供者の法的地位と責任[35]

 DPF取引においては、DPF提供者はDPFを整備・管理・運営責任を負っていると考えられる。この点につき、デジプラ消費者保護法では、取引DPF提供者に対し、その提供する取引DPFを利用して行われる通信販売にかかる取引の適正化および紛争の解決の促進に資するための措置を講ずる努力義務を課し(同法3条)、DPFに危険商品等が出品され個別法の執行が困難な場合、内閣総理大臣は当該取引DPF提供者に対して出品削除を要請できるとし、その要請に係る措置を執った提供者は当該措置により販売業者等に生じた損害について責任を負わないと規定している(同法4条)。

 さらに、DPFを利用して行われる取引や情報発信に起因しDPF利用事業者や第三者が損害を被った場合にDPF提供者が一定の責任を負うことはすでに裁判例において認められている。たとえば、名古屋地判平成20・3・28判時2029号89頁は、オークションサイトにおいて詐欺に遭った被害者がDPF提供者を訴えた事案において、DPF提供者には、利用者に対して、時宜に即して相応の注意喚起の措置をとるべき利用契約における信義則上の義務があることを認めた[36]。知財高判平成24・2・14判時2161号86頁は、DPF利用事業者による商標権侵害に対するDPF提供者の責任につき、商標権侵害の商品が出店されている事実を提供者が知ったにもかかわらず合理的期間内に侵害内容を削除しない場合には、商標権を有する者は、DPF提供者に対し差止請求および損害賠償請求が可能であるとしてDPF提供者に一定の責任を認めている。このように、DPF提供者は、単なる場の提供者にとどまらない、DPFを適切に管理運営する責任を負っているといえよう[37]

 この責任の根拠を検討するにあたっても、DPF取引のもうひとりの関与者である購入者の存在を考慮すべきであろう。DPFを利用して取引するに際し、前述のとおり、購入者は、希望する商品・利用事業者をインターネットで検索し、その商品・利用事業者が出店しているDPFを利用するという方法もあるが、DPFを最初に選択し、そこに出品されている商品を購入するという方式も多いと思われる。そのような取引においては、DPFに対するDPF利用者の信頼は重要なものであるといえる[38]

 

Ⅳ DPF提供者・DPF利用事業者間契約の終了

1 解約申入れによる終了――合意による継続的契約の終了のコントロール①

 DPF提供者・利用事業者間契約においても、他の継続的契約と同様に相当期間の予告を伴う解約申入れが定められているのが一般的である。たとえばAmazonサービスビジネスソリューション契約では、「Amazonは、サービス利用者に対して30日前の通知を行うことにより、都合により、サービス利用者によるサービスの利用を終了させ、または本契約を解除することができます」と規定されている。これにもとづく解約申入れの際には、この期間の相当性を判断する必要があろう。すなわち、このあらかじめ定められた期間の相当性を判断するにあたっては、DPF提供者・利用事業者間だけでなく、購入者も含めたDPF取引全体の安定性という観点から期間の相当性を検討すべきである。

 さらには、DPF提供者・利用事業者間の格差に鑑み、信義則により解約申入れに正当事由が求められるなど解消が制限されることもあろう。ただしその場合にも、DPF利用事業者を不動産賃借人と同視するのではなく、個別の取引やDPF利用事業者を拘束する条項等も考慮に入れ具体的に検討すべきである。

 

2 債務不履行を原因とする終了――信頼関係破壊の法理

 ⑴ 一般理論な規律としての信頼関係破壊の法理

 継続的契約においては、一方当事者に債務不履行があったとしても直ちに解約が認められるのではなく、「信頼関係破壊の法理」[39]によりその可否が検討される。信頼関係破壊の法理は、そもそもは不動産賃貸借契約を前提とし判例・学説上認められるようになった法理であり、不動産賃貸借契約における賃借人保護の観点からの「賃貸人の解除権の制限」の規律であると同時に、契約を継続しがたい重大な事態が生じた場合の「賃貸人の解除権の拡張」の規律でもある[40]。さらに、こんにちでは信頼関係が重要な継続的契約は不動産賃貸借にとどまらず、委任その他の役務提供型契約や、代理店契約なども信頼関係を基礎とする継続的契約であることから、これらの契約においても、信頼関係破壊の法理の有用性が指摘されている。

 この信頼関係破壊の法理については、債権法改正論議の中で、継続的契約の解除規定としておくべきではないかとの提案があった[41]。この提案については、「信頼関係破壊の法理は賃貸借における債務不履行解除一般に妥当する法理として確立しているとは言えない」との指摘や、「継続的契約における債務不履行解除一般に妥当する法理として信頼関係破壊の法理に関する規定を設けることは困難であるとの指摘」があり、さらには、そもそも継続的契約に関する規定が新設されなかったことから明文化されなかった[42]。しかしながら、そのことによりこの法理そのものが否定されたわけではない。継続的契約・信頼関係破壊の法理については、問題となる契約の解消場面について、当事者の関係・利益状況などを含めた具体的要素から判断し、この法理を用いて契約の解消を認めることが有用であるかを判断すべきであろう。

 ⑵ DPF取引における信頼関係とその破壊

 すでに述べたようなDFPの特徴からは、その特性に即した「信頼関係」と「その破壊といえる状況」を判断し、DPFからの強制退去を含む提供者による処分や終了を検討する必要がある。そして、DPF利用契約における信頼関係の喪失には、DPFへの社会的信頼の維持の観点から、単にDPF提供者・利用事業者といった当事者の関係だけでなく、前述の通り利用事業者の行為によりDPF提供者が第三者に責任を負うものとなる場合も含まれる。このことは、利用事業者間の処分の平等性の観点からも必要である。この点につき長谷川教授の「DPFを開設し管理運営しているDPF提供者においても、利用者に対して一定の注意義務を負うことがあり、その義務違反から責任が生じる場合があることに注意が必要である」との指摘は核心をついている[43]

 そして、それらの喪失(破壊)についてはひとつの事実の発生からだけでなく、種々の考慮要素から判断・評価すべきである。

 さらには、本稿が対象とするDPF提供者・利用事業者間の契約の場合には、デジプラ消費者保護法4条の趣旨に鑑み、たとえば不適切な情報の提供、瑕疵ある商品の故意の提供など消費者に不利益を与えるような行為については、信頼関係破壊を判断する際の考慮要素とされるべきであろう。

 そして、DPF提供者からの処分につき、DPF利用事業者に重大な信頼関係の破壊があったときには即時の解消(強制退去)を認めることも必要であろうが、継続的契約関係という観点からは利用事業者の行為の程度に応じて、相当期間を定めた是正勧告、出品の取り下げ、利用の一時停止といった段階的な処分も必要であろう。この点については、前述のように、大手DPF提供者の規約においても段階的な処分が明記されており、利用事業者の合理的な期待の観点からもそのような処分も検討に値しよう[44]

 

3 解約特約条項による終了――合意による継続的契約の終了のコントロール②

 ⑴ 概要

 他の継続的契約と同様に、オンラインプラットフォーム利用契約においても、あらかじめ終了に関する約定がおかれているのが一般的である。たとえばAmazonでは、重大な契約違反、アカウントの違法な活動での利用、他の利用事業者、顧客(消費者)、Amazonの合法的利益侵害(あるいはその恐れ)があった場合に、Amazonは期間の短縮・破棄ができると定める。Amazon以外の提供者においても、DPF利用事業者の重大な契約違反を理由とし、利用停止、強制退去(解約)に関する条項をおいており、それに該当する行為とされた場合には、利用停止、強制退去などの処分が行われると定められている。では、このような特約違反があった場合に、直ちに解約が認められるだろうか。

 特約違反が約定解除事由とされる場合の効力ついて、中田(裕)教授は4段階の検討が必要であると指摘する[45]。①特約の成否(特約についての合意があるか)、②特約の有効性(禁止条項が有効か)、③特約該当性(有効だとしてそれに違反したと評価できるか)、④信頼関係破壊の法理(違反しているとして信頼関係破壊にいたるものか)という4段階である。

 この点、ショッピングセンターの建物賃借人が特約に反する行動をしたとして解除された事案(最一小判昭和50・2・20民集29巻2号99頁)につき最高裁は、「上告人(賃借人)の……行為は単に前記特約に違反するのみではなく、そのため本件賃貸借契約についての被上告人(賃貸人)と上告人(賃借人)との間の信頼関係は破壊されるにいたつたといわなければならない」(下線は筆者による)と判示したが、田尾調査官は、「特約違反が解除理由となるのは、それが賃料債務のような賃借人固有の債務不履行となるからではなく、特約に違反することによつて賃貸借契約の基礎となる賃貸人、賃借人間の信頼関係が破壊されるから」[46]であると指摘している。

 そして、このような規約にもとづく約定解除であっても、継続的契約では、市場の状況、当事者の能力、履行の態様、相互の信頼関係など取引の成功・失敗にかかわる不確定要素が多いことから、解除された相手方がそれを争うことが少なくないとされる[47]。加藤元裁判官も、「継続的契約関係訴訟は、都会地でも地方でも、地裁民事部であれば、常時一定数は継続している訴訟類型である」が、「継続的契約の解消(更新拒絶、解約、解除)をめぐる論点を抱える訴訟の予測可能性が、他の契約関係訴訟との比較において顕著に低」く、「関係者が契約の解消をめぐる案件の提訴の是非に迷うことも多い」と指摘する[48]。そして、継続的契約において解約を抑制することの正当化根拠について、①当事者間において継続させることにメリットがあること(主観的要素)、②経済的にも相当(有益)であること(客観的要素)をあげる[49]。解約抑制の正当化の根拠については、ほかにも、被供給者の保護という観点から「人的投下資本の回収の保護」が理由としてあげられている[50]。近時ではその取引を継続することによってしか回収できない「取引特殊的投資」の存在を指摘するものもある[51]

 ⑵ 特約の有効性と特約該当性

 継続的契約における約定解除の有効性が争われた近時の裁判例としては以下のようなものがある。①東京地判平成12・11・29判タ1086号162頁は、コンピュータグラフィックス事業の業務委託契約において、委託者が解約権留保条項にもとづく解約権の行使を主張したのに対し、受託者がそれを不当であるとして争った事案につき、当該業界の特徴から「契約関係者が、これに即応してビジネス展開をしていく必要があることを考慮すると、本件のような解約権の合意をすることについては合理性がある」とし、本件契約が継続的契約であることを根拠にやむを得ない事由が存在する場合にのみ本件解約権を行使することができるという受託者側の主張に対し、技術革新の進歩に伴い技術の陳腐化が極めて早いことに対応する必要性などから、やむを得ない事由が存在しなくとも有効であるとした。②東京地判平成25・3・1判タ1413号362頁は、業務委託者が加盟店の契約上の義務違反を理由に業務提携契約を解除したことにつき、加盟店が業務委託者に対し当該解除は無効であるとして債務不履行による損害賠償等を請求した事案において、加盟店が業務委託者の最大の取引先となる他社に対し、別個の業務提携契約を締結するよう働きかけたことが背信性の高い競業禁止義務違反にあたるとして、本件基本契約の約定解除権の行使(即時解除)が有効であると判断した。

 DPF提供者・利用事業者間のDPF利用契約においては、これら裁判例で指摘されたこととともに、DPF取引全体におけるDPF提供者の責任という観点から、特約有効性およびそれにもとづく解約も検討する必要があろう。その際には、他の利用事業者、購入者(消費者)の利益の保護に加え、第三者の権利の保護も重要な要素となる。規約にもとづく提供者からの解消の際には、これらの要素を踏まえた契約の解釈により、その可否が認められるべきである。

 すなわち、DPF提供者・利用事業者間の契約の約定解除についても、業界の特殊性、問題となるDPFの特徴、利用事業者の行為・行為態様等により、具体的に特約の有効性と行為の該当性について判断されることになろう。同時に、購入者(消費者)という第三の重要な関与者が登場するDPFという特殊性、利用事業者の行為が提供者の社会的信頼に及ぼす影響、消費者保護という観点などを考慮すべきである。一方で、契約当事者の格差の考慮(ただし、DPF提供者、DPF利用事業者ともにさまざまな者がいることから具体的に検討すべきである)や前述であげた根拠から約定解約の制限も検討する必要もあろう。

 これらの検討により特約の有効性[52]、行為の該当性という要件を満たした後に、さらに前述の信頼関係破壊の法理により、解消の可否が検討されることになろう。

 

Ⅴ 残された関連問題

 これまでの検討はDPF利用契約というB to B取引についてであり、考慮要素として利用事業者・消費者というB to Cの関係も含めていた。一方で、近時ではインターネットオークションや個人間売買のようなDPFを利用した個人間の取引(C to C)も盛んに行われるようになってきている。このような場合のDPFの利用について、事業者の利用と同様に考えることができるかについては、さらなる検討が必要である。

 また、DPFを利用した取引は、データの収集を伴う取引であることから、その解消にあたってはそれまで集取したデータの処理という、従来の契約にはない重大な問題が残っている。DPF取引の解消の効果を考える際には、この点も重要な問題であるが、本稿では検討し得なかった。

 さらには、本稿はDPF取引のうちのDPF提供者・利用事業者間の契約に焦点をあて、その解消について検討を行ったものであるが、DPF取引全体を検討するにあたっては、個々の契約関係だけでなく、全体を把握した上で、その法的関係を検討する必要がある[53]。その必要性および法的構造[54]についてはすでにいくつかの文献において指摘されているところであるが、本稿では検討することができなかった。残された今後の課題として検討を続けていきたい。

以 上

 

* 本稿はJSPS科研費JP21KK0018の助成を受けた研究成果の一部である。



[27] 前掲注[8] 一般条件3。

[28] 期間を1年ではなく3ヵ月とする「ライトプラン特約」、「がんばれ! プラン特約」も存在する。

[29] 楽天市場出店規約(2021年11月15日最終改訂版)。
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2022/12/01_kiyaku_guideline.pdf

[30] 中田裕康『契約法〔新版〕』(有斐閣、2021)185頁、同『継続的契約の規範』(有斐閣、2022)4頁。

[31] 中田(裕)・前掲注[30]『規範』5頁。

[32] 中田(裕)・前掲注[30]『契約法』187頁、同・前掲注[30]『規範』5-7頁。

[33] 中田裕康「永久契約の禁止」『人間の尊厳と法の役割』(信山社、2018)37頁。

[34] 中田(裕)・前掲注[30]『規範』6頁。

[35] DPF提供者の責任については、拙稿・前掲注[1] も参照。

[36] ただし、義務違反はなかったとして原告請求棄却、控訴審(名古屋高判平成20・11・11裁判所HP)においても、義務違反はなかったとして控訴は棄却された。

[37] この点については、すでに多くの文献が指摘している。たとえば、長谷川・前掲注[2] 338頁「責任」、同・前掲注[21]「役割」75頁、森・前掲注[2] 15頁など。鹿野・前掲注[2] 11頁は、DPFには「システム構築責任」があるとする。安平・前掲注[19] 36頁は、DPF提供者がゲートキーパーとして、安全・安心な環境の構築に努めれば、利用者がその便益を享受することができるとする。

[38] 林秀弥「デジタルプラットフォームと消費者の権利――競争法と『信頼(trust)』の観点から」現代消費者法48号(2020)55頁以下は、DPFサービスに対する「信頼」の重要性を説く。

[39] 判例において「信頼関係の破壊」を解除の判断基準とすることが継続的供給契約にも浸透してきていることを指摘するものとして、森孝三「一時的債権契約と継続的債権契約」『契約法大系Ⅰ』(有斐閣、1962)96頁。

[40] 中田(裕)・前掲注[30]『契約法』207頁。

[41] 民法(債権関係)の改正に関する論点の検討(20)53頁。

[42] 民法改正論議における「継続的契約」については、中田・前掲注[30] 11-24頁を参照。

[43] 長谷川・前掲注[21]「役割」75、76頁。

[44] 裁判事例ではないが、近時、大手化粧品メーカーの模倣品がオンライン・モールで販売されその提供者が契約解除などの一定の対応をとると回答した事例や、その当時は道交法上そのままでは公道を走行できない電動スケーターがオンライン・モールで販売され、それに対する契約解除などの提供者の対応が報道された事例がある。

[45] 中田(裕)・前掲注[30]『契約法』207頁、428頁。

[46] 田尾挑二『最高裁判所判例解説・民事編 昭50年』42頁。

[47] 中田(裕)・前掲注[30]『契約法』188頁。

[48] 加藤新太郎「Legal Analysis(51)継続的契約の解約の要件と契約の解釈」NBL1173号(2020)71頁。

[49] 加藤・前掲注[48] 73頁。

[50] たとえば、星野英一=谷川久=岩城謙二「代理店・特約店取引の研究(2)」NBL139号(1977)14頁〔星野発言〕、広中俊雄=龍田節編『契約の法律相談(2)』(有斐閣、1978)205頁〔神崎克郎〕。

[51] 中田裕康『継続的売買の解消』(有斐閣、1994)490頁、白石忠志「契約法の競争政策的な一断面」ジュリスト1126号(1998)125-128頁など。

[52] 特約の有効性については、DPF提供者が大規模企業であるのに対し、DPF利用事業者は小規模事業者も多く、DPF提供者の立場が強いことから、独禁法の問題も生じうる。継続的契約の終了における独禁法上の問題については、川越憲治「継続的取引契約の終了と独占禁止法」『継続的契約と商事法務』(商事法務、2006)97頁を参照。

[53] 必要性を指摘するものとして千葉恵美子「電子商取引をめぐる取引環境の変化と今後の消費者法制の課題――デジタル・プラットフォーム型ビジネスと取引法」消費者法研究5号(2018)96頁、鹿野・前掲注[2] 12頁、中田(邦)・前掲注[6] 30頁以下、長谷川・前掲注[2]「諸問題」192頁以下、同・前掲注[2]「責任」341頁以下、同・前掲注[21]「役割」89頁以下。

[54] 千葉・前掲注[53] 108、109頁、鹿野・前掲注[2] 12頁は、複数の契約からなるシステムの全体として捉えるべきとするが、その法的構成については必ずしも明らかではない。この点、一連の長谷川論考は、多角の視点にもとづく同意理論から全体を構築し、DPF提供者の契約責任について論じている(端的に示す箇所として、長谷川・前掲注[2]「責任」339-341頁)。また、拙稿・前掲注[1] では、長谷川同意理論を基礎に、責任の根拠について検討している。

 

 

「契約の終了」連載終了のお知らせ

 2018年12月のNBL1135号から始まった「契約の終了」の連載は、本号をもちまして終了させていただきます。連載の総括に代えて、これまでに掲載した全論稿を加筆修正のうえ一冊の書籍にまとめる予定です(2023年夏 刊行予定)。

 

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