SH4300 意外に深い公益通報者保護法~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~ 第6回 従事者に関する運用上の留意点(6) 金山貴昭(2023/02/02)

組織法務公益通報・腐敗防止・コンプライアンス

意外に深い公益通報者保護法
~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~ 

第6回 従事者に関する運用上の留意点(6)

森・濱田松本法律事務所

弁護士 金 山 貴 昭

 

Q 従事者の属性に関する留意点

 当社は中小企業ゆえに対応人員が限られるため、内部公益通報の担当者が懲戒委員会を兼務することに問題はありませんでしょうか。

 

A 【ポイント】

内部公益通報に対応する担当者の属性については、公益通報された事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとる必要があるとされていますが、その他に内部公益通報の担当者の属性について制限はなく、懲戒委員会を兼務することも可能です。ただし、通報者心理を踏まえ、内部公益通報の受付窓口を人事部に設置することは避けることが望ましいとされていますので、このような観点も踏まえ内部公益通報の担当部署・担当者を検討することが望ましいです。

 

【解説】

1 公益通報対応業務従事者の属性に関する法定指針等の定め

 法定指針では、公益通報対応業務従事者の属性について、「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関し行われる公益通報対応業務について、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとる」とされています。

 「事案に関係する者」とは、公正な公益通報対応業務の実施を阻害する者を指すとされ、典型的には、➊法令違反行為の発覚や調査の結果により実質的に不利益を受ける者、❷公益通報者や被通報者(法令違反行為を行った、行っている又は行おうとしているとして公益通報された者)と一定の親族関係がある者等とされています(指針の解説12頁 脚注24)。

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(かなやま・たかあき)

弁護士・テキサス州弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業、2019年テキサス大学オースティン校ロースクール(L.L.M.)修了。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)、2019年テキサス州弁護士会登録。2021年消費者庁制度課(公益通報制度担当)、同参事官(公益通報・協働担当)出向。
消費者庁出向時には、改正公益通報者保護法の指針策定、同法の逐条解説の執筆等に担当官として従事。危機管理案件の経験が豊富で、自動車関連、動物薬関連、食品関連、公共交通機関、一般社団法人等の幅広い業種の危機管理案件を担当。

 

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