意外に深い公益通報者保護法
~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~
第14回 内部公益通報受付窓口(3)
森・濱田松本法律事務所
弁護士 金 山 貴 昭
Q グループ内部通報制度に関する留意点
企業グループ共通の窓口を設置することで、企業グループ全体として内部公益通報対応体制を構築・運用しています。このような体制を構築・運営する上でどのような点に留意する必要があるでしょうか。
A 【ポイント】
企業グループ共通の窓口を設置することは、公益通報者保護法及び法定指針においては禁止されていませんし、グループ会社の管理の観点やグループ会社における幹部からの独立性の確保の観点からはメリットがある方法です。 ただし、グループ会社(子会社や関連会社)が独自の窓口も併せて設置している場合や公益通報者に対し不利益な取扱いをした者への懲戒処分等の適切な措置を講じる場合等には、グループ企業(子会社や関連会社)自身による個別の対応が必要となる場面もあるので留意が必要です。 |
【解説】
企業グループ全体として内部公益通報対応体制を構築することは、効率的な制度運営と企業グループ全体のコンプライアンスの向上に有用であり、多くの企業で企業グループ全体としての内部公益通報対応体制を構築しています。この点、公益通報者保護法や法定指針では、企業グループに対する特別な規定は設けておらず、これらが定める公益通報対応業務従事者の指定義務や内部公益通報対応体制の構築義務は、企業グループに属する全ての法人が個々にこれらの義務を履行することが必要となります。とりわけ、複数の企業で連携して内部公益通報対応体制を整備・運用する上では以下の点に留意が必要です。
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(かなやま・たかあき)
弁護士・テキサス州弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業、2019年テキサス大学オースティン校ロースクール(L.L.M.)修了。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)、2019年テキサス州弁護士会登録。2021年消費者庁制度課(公益通報制度担当)、同参事官(公益通報・協働担当)出向。
消費者庁出向時には、改正公益通報者保護法の指針策定、同法の逐条解説の執筆等に担当官として従事。危機管理案件の経験が豊富で、自動車関連、動物薬関連、食品関連、公共交通機関、一般社団法人等の幅広い業種の危機管理案件を担当。
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