メタバースをめぐる法的課題への対応に関する官民連携会議の動向(続報②)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 中 島 滉 平
1 はじめに
「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議」(以下「本官民連携会議」という。)では、昨年11月以降、3つの分科会において、それぞれメタバースをめぐる各種の法的課題について議論が進められている。本稿では、筆者らの前々稿[1]および前稿[2]の続報として、本年2月10日に開催された第二分科会(第2回)における配布資料をもとに、その議論の概況を紹介する。
主な検討事項(第二分科会)
出典:メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等への対応に関する官民連携会議(第1回)
資料2-1「官民連携会議の設置について(当面の検討課題と検討の進め方案)」[3] 7頁
2 議論の概要
第二分科会の第2回会合では、アバターの肖像等をめぐって生じ得る法的論点として、大きく3つの検討事項が挙げられ、それぞれにつき具体的な課題が整理された(下表参照)。
検討事項 | 課題 |
検討事項1 メタバース外の人物の肖像の無断使用への対応 |
課題1-1:実在の人物の肖像の写り込み 課題1-2:実在する他者の肖像を模したアバターの無断作成・無断使用 |
検討事項2 他者のアバターの肖像等の無断使用その他の侵害行為への対応 |
課題2-1:他者のアバターの肖像・デザインの無断使用 課題2-3:アバターに対する誹謗中傷等 |
検討事項3 アバターの実演に関する取扱い |
課題3:アバターの実演にかかる著作隣接権の権利処理 |
上記各課題のうち、以下では、紙幅の都合上、アバターに関して実在する人物の人格的利益・権利との関係が問題となる課題1-2と課題2-3について紹介する。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(なかしま・こうへい)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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