倒産手続のIT化に関する法改正にかかる要綱案の概観
――「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続の見直しに関する要綱案」の公表を受けて――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 荻 野 聡 之
弁護士 樋 口 政 隆
1 はじめに
2022年9月13日および同月21日の拙稿[1]において「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案」(以下「中間試案」という。)を概観し、倒産手続のIT化に関する法改正の議論状況を概観した(具体的な議論の内容については、同拙稿を参照されたい)。
2023年1月20日、法務省は「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続の見直しに関する要綱案」(以下「要綱案」という。)を取りまとめたため、本稿において、要綱案のうち倒産法分野について概観するとともに、中間試案との異同等を確認する。
2 要綱案の全体像
要綱案において公表されている倒産手続のIT化に関する法改正の全体像は、下記のとおりである。
破産手続 | 裁判所に対する(インターネットを用いてする)申立て等 |
提出された書面等および記録媒体のファイルへの記録(電子化) | |
裁判書および調書等の電子化 | |
期日におけるウェブ会議および電話会議の利用 | |
電子化された事件記録の閲覧等 | |
送達 | |
その他 | |
民事再生、会社更生、特別清算および外国倒産処理手続の承認援助の手続 |
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(おぎの・さとし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。破産管財人、民事再生手続申立代理人、私的整理における債務者代理人等多数。2019年度東京弁護士会倒産法部事務局(広報担当)。
(ひぐち・まさたか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2016年早稲田大学法学部卒業。2018年弁護士登録。倒産分野、労働分野を中心に担当し、M&Aの領域や証券発行の領域の案件等も幅広く担当している。大阪弁護士会 司法委員会 倒産手続IT化運用検討プロジェクトチーム委員としても活動している。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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