SH4395 シンガポール:SICCによる「訴訟-調停-訴訟プロトコル」の導入(上) 青木 大(2023/04/06)

企業紛争・民事手続

シンガポール:SICCによる「訴訟-調停-訴訟プロトコル」の導入(上)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 青 木   大

 

1 はじめに

 シンガポール国際商事裁判所(Singapore International Commercial Court, SICC)は、2023年1月12日、シンガポール国際調停センター(Singapore International Mediation Center, SIMC)と共同で、「訴訟-調停-訴訟プロトコル」(Litigation-Mediation-Litigation Protocol)と称する手続を導入することを発表した。

 

2 「訴訟-調停-訴訟プロトコル」とは

 「訴訟-調停-訴訟プロトコル」とは、当事者が合意で選択できる紛争解決手続フローであり、SICCで一旦訴訟を開始した後、当事者はまず一定期間(原則8週間)の間に、SIMCにおける調停で当該紛争を解決することを模索し、紛争が調停で解決できれば、その和解内容を裁判所の命令として記録し、仮に解決できなければ、引き続きSICCにおける訴訟を続行するという形で紛争解決手続が進められることとなる。

 本プロトコルに基づく手続を行うためには、まず当事者の合意が必要となるが、契約書等において事前に合意されている場合のほか、紛争が顕在化した後に合意されたものでも構わない。

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(あおき・ひろき)

2000年東京大学法学部、2004年ミシガン大学ロースクール(LL.M)卒業。2013年よりシンガポールを拠点とし、主に東南アジア、南アジアにおける国際仲裁・訴訟を含む紛争事案、不祥事事案、建設・プロジェクト案件、雇用問題その他アジア進出日系企業が直面する問題に関する相談案件に幅広く対応している。

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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