ベトナム:仲裁判断の承認・執行にかかる近時の裁判例(上)
――金銭支払請求は全て裁判所の専属管轄か?――
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 井 上 皓 子
ベトナム弁護士 Nga Tran
はじめに
先日、ハノイ高等人民裁判所において、外国仲裁判断の承認が棄却された判決が言い渡された。あくまでも下級審の事例判断ではあるものの、そのまま読めば、金銭の支払いを命ずる仲裁判断であっても、その強制のためにベトナム国内の不動産を対象とする執行可能性がある限り、あらゆる仲裁判断がベトナム国内での承認を得ることができないことになる危険性を孕む判決であり、今後のベトナムにおける仲裁申立の可能性を検討するうえで実務に影響を与える可能性があるため紹介する。
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(いのうえ・あきこ)
2008年東京大学法学部卒業。2010年東京大学法科大学院修了。2011年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2018~2020年、長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス勤務。日本にお
(Nga Tran)
2016年Hanoi Law University及び名古屋大学日本法教育研究センター(ハノイ)卒業後、長島・大野・常松法律事務所ハノイオフィスに入所。2020年ベトナム弁護士資格を取得。日系企業の事業進出に伴う手続きや法務、現地企業の売買、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務(事業拡大のための法令調査、紛争、労務、取引契約レビュー等)を担当。
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