SH4615 ベトナム:仲裁判断の承認・執行にかかる近時の裁判例(上)――金銭支払請求は全て裁判所の専属管轄か? 井上 皓子/Nga Tran(2023/09/04)

取引法務企業紛争・民事手続

ベトナム:仲裁判断の承認・執行にかかる近時の裁判例(上)
――金銭支払請求は全て裁判所の専属管轄か?――

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 井 上 皓 子

ベトナム弁護士 Nga Tran

 

はじめに

 先日、ハノイ高等人民裁判所において、外国仲裁判断の承認が棄却された判決が言い渡された。あくまでも下級審の事例判断ではあるものの、そのまま読めば、金銭の支払いを命ずる仲裁判断であっても、その強制のためにベトナム国内の不動産を対象とする執行可能性がある限り、あらゆる仲裁判断がベトナム国内での承認を得ることができないことになる危険性を孕む判決であり、今後のベトナムにおける仲裁申立の可能性を検討するうえで実務に影響を与える可能性があるため紹介する。

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(いのうえ・あきこ)

2008年東京大学法学部卒業。2010年東京大学法科大学院修了。2011年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2018~2020年、長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス勤務。日本における人事労務対応、紛争・不祥事対応、ベトナムにおける日本企業の事業進出・人事労務問題等への法的アドバイス、現地における企業活動に関する法務サポートを行っている。

 

(Nga Tran)

2016年Hanoi Law University及び名古屋大学日本法教育研究センター(ハノイ)卒業後、長島・大野・常松法律事務所ハノイオフィスに入所。2020年ベトナム弁護士資格を取得。日系企業の事業進出に伴う手続きや法務、現地企業の売買、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務(事業拡大のための法令調査、紛争、労務、取引契約レビュー等)を担当。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイ、ジャカルタ及び上海に拠点を構えています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」及び「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携及び協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。

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