☆マレーシア:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報) 長谷川良和(2020/04/10)

2020年4月9日号
マレーシア:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)

                                                                                長島・大野・常松法律事務所

弁護士 長谷川 良和

はじめに

 4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発出され、国内の感染対策は新たなフェーズに入りました。多くの海外地域においては厳格な外出制限や営業禁止等のロックダウン措置が継続している一方、4月8日には中国武漢市の封鎖が解除されるなど、一部地域においては収束に向けた兆しも見え始めています。

 本記事では速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本記事は感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本記事の内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本記事の内容は、特段記載のない限り、日本時間2020年4月8日夜時点で判明している情報に基づいています。

 

マレーシア

全体概況  死亡者:63人、感染者数(累計):3,963人(4月7日現在)

 マレーシアは、引き続きASEANの中で最も感染者数が多い国の一つとなっている。マレーシアでは、3月から感染者数が急速に増加し、4月に入っても直近1週間で約1,200人が新たに感染している。感染拡大を阻止する観点から、伝染病予防管理法及び下位規則に基づいて感染地域での活動が4月14日まで制限されており、マレーシア国民の海外渡航禁止及び外国人のマレーシア入国禁止措置がとられている。4月1日からは、スーパーマーケット等の営業時間や車両の通行時間等についても制限が加わっている。

 上記活動制限令により、原則として、感染地域の全ての事業所や崇拝所が閉鎖されている。製造工場に関しては、例外的に、①食品、家庭用品、医薬品、医療機器等の必需品、及び②石化成品、化学品や電子・電気製品等の必需品のサプライチェーンの一部を構成する製品については、国際貿易産業省(MITI)の許可を得て、一定の条件付きで生産や製造の継続が可能とされている。もっとも、例外的な生産又は製造開始を求めて非常に多くの事業者が国際貿易産業省に許可申請を行っており、申請審査の遅延や手続的混乱が生じ、3月25日以降は新規申請受付は締め切られている。

 かかる状況を踏まえ、売買や賃貸借を含め、各種契約における不可抗力条項や後発的履行不能原理(Doctrine of Frustration)に関する検討、また契約解釈を踏まえて契約相手方との契約交渉等の対応を行う企業も見られる。

 

主な政府発表

  1. ・ 人的資源省が新型コロナウイルスを含む感染症予防対策に係るガイドラインを公表(2月6日)
  2. ・ 首相が3月18日から3月31日までの14日間にわたるマレーシア全土での移動制限令を発表(3月16日)
  3. ・ 国家安全保障委員会が、活動制限命令下で例外的に許可を得て製造又は生産継続可能品目を発表(3月18日)
  4. ・ 首相が活動制限令の対象期間を4月14日まで延長することを発表(3月25日)

渡航情報

  1. ・ 活動制限令の期間中、マレーシア国民による海外渡航の禁止及び外国人によるマレーシアへの入国禁止。

その他

  1. ・ 現在、4月15日以降の活動制限の扱いに関して議論がなされている。
  2. ・ 活動制限令の期間中は学校も休校となる。

 

(はせがわ・よしかず)

東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修了、Columbia University School of Law(LL.M.)卒業。三菱商事株式会社勤務、Allen & Gledhill LLP(シンガポール)出向を経て、2013年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。

シンガポールを拠点に、シンガポール、マレーシア、ミャンマーを含む東南アジアその他アジア地域において、進出、日常的な法務問題、M&A、ジョイント・ベンチャー、危機対応、エネルギー・インフラ案件等、日系企業が直面する法律問題を幅広くサポートしている。

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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