2020年5月14日号
マレーシア:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 長谷川 良和
はじめに
政府対策本部により緊急事態宣言が5月31日まで延長される一方で、都道府県レベルでは地域ごとの感染状況に応じた社会経済活動の再開に向けた方針の発表が相次いでいます。海外においても、各国において経済活動の再開に向けた具体的なロードマップの発表が続いており、一部の国や地域では既に緩和措置が開始されていますが、その判断基準や緩和手順は一様ではなく、また、感染拡大の第二波の兆候が顕れている国もあり、引き続き企業にとってはビジネス再開の見通しが不透明な状況が続いています。
本記事では速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本記事は感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本記事の内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本記事の内容は、特段記載のない限り、日本時間2020年5月13日夜時点で判明している情報に基づいています。
全体概況 死亡者:92人、感染者数(累計):6,726人(5月11日現在) マレーシアは、ASEANの中で感染者数が多い国の一つとなっているが、4月後半以降、新規感染者の数はやや下火となりつつある。マレーシアでは、伝染病予防管理法及び下位規則に基づいて感染地域での活動制限措置がとられていたが、感染抑止等の状況も踏まえ、5月4日からは従前の厳格な活動制限規制の内容を一部緩和し、条件付き活動制限という形態で、一部の業種を除き、新型コロナウイルス対策の標準作業手順書を遵守することを条件として経済活動の再開が認められている。 企業によっては、解雇や給与減額等の労務関係、倒産や債権保全関係、売買や賃貸借といった各種契約における不可抗力条項や後発的履行不能原理(Doctrine of Frustration)に関する検討、また契約解釈を踏まえた契約相手方との契約交渉等の対応を行う企業も見られる。 |
主な政府発表
- ・ 人的資源省が新型コロナウイルスを含む感染症予防対策に係るガイドラインを公表(2月6日)
- ・ 首相が3月18日から3月31日までの14日間にわたるマレーシア全土での移動制限令(フェーズ1)を発表(3月16日)
- ・ 国家安全保障委員会が、活動制限命令下で例外的に許可を得て製造又は生産継続可能品目を発表(3月18日)
- ・ 首相が活動制限令の対象期間を4月14日まで延長すること(フェーズ2)を発表(3月25日)
- ・ 首相が活動制限令の対象期間を4月28日まで延長すること(フェーズ3)を発表(4月10日)
- ・ 首相が活動制限令の対象期間を5月12日まで延長すること(フェーズ4)を発表(4月23日)
- ・ 首相が条件付き活動制限令の対象期間を6月9日まで延長することを発表(5月10日)
渡航情報
- ・ 活動制限令の期間中、マレーシア国民による海外渡航の禁止及び外国人によるマレーシアへの入国禁止。
その他
- ・ 活動制限令の期間中は学校も休校となる。
(はせがわ・よしかず)
東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修了、Columbia University School of Law(LL.M.)卒業。三菱商事株式会社勤務、Allen & Gledhill LLP(シンガポール)出向を経て、2013年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。
シンガポールを拠点に、シンガポール、マレーシア、ミャンマーを含む東南アジアその他アジア地域において、進出、日常的な法務問題、M&A、ジョイント・ベンチャー、危機対応、エネルギー・インフラ案件等、日系企業が直面する法律問題を幅広くサポートしている。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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