2020年5月28日号
中国:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 川 合 正 倫
はじめに
緊急事態宣言の全面解除により、国内の経済活動は今後段階的に再開される見通しとなりましたが、政府・自治体からは引き続き感染拡大防止に向けた企業努力の継続が要請されており、国境を越えた移動については依然として厳しい制限が課されています。海外でも、欧米を中心に外出自粛等の対策措置の段階的緩和が開始される一方で、大型の倒産案件は増加傾向にあり、世界経済へのダメージの長期化・深刻化は避けられない見通しです。
本記事では速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本記事は感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本記事の内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本記事の内容は、特段記載のない限り、日本時間2020年5月27日夜時点で判明している情報に基づいています。
全体概況 死亡者:4,634人、感染者数(累計):82,992人(5月26日現在) 中国では、国内感染の収束傾向を受け、多くの企業が本格的に事業再開をしている。一方で、湖北省や吉林省における単発事例に加え、上海で湖北省からの移動者の感染が報告されており第二波への警戒が続いている。また、報道によると、武漢市で大規模なPCR検査が実施され5月24日までに検査結果が判明した650万人のうち218人に無症状感染が確認された。国外からの入国者については引き続き厳格に管理されており、外国人の入国は原則として禁止されているが上海や広州等でビジネス目的での外国人の入国を例外的に認める事例も出てきている。 |
主な政府発表
- ・ 最高人民法院は「新型肺炎ウイルスに関連する民事案件の法律に従う適切な審理に関する若干の問題に関する指導意見(一)」を公表し、不可抗力の適用、労務問題の処理、懲罰性賠償の適用、訴訟時効の中断、訴訟期間の延長等について実務上の指針を示した。
渡航情報
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・ 中国外務省は3月28日から、原則として全外国人の入国を一時停止する措置を適用し、有効なビザや居留許可を持っていても入国できない。例外的に入国が許可される場合は、外交、公務、礼遇、乗務員ビザで入境する場合並びに外国人が訪中して必要な経済貿易、科学技術等の活動に従事する場合及び緊急の人道主義の必要に基づく場合で中国の在外公館に申請して査証を取得した者に限定されている。もっとも、5月に入ってから韓国からの入国者に対して特定地域へのビジネス目的での入国を例外的に認めるファストトラック制度が実施された。また、近時は、上海や広州等においても個別事情に応じて日本人を含む外国人のビジネス目的での入国を認める事例も出てきている。
その他
- ・ 北京市において5月22日より全国人民代表大会が開催された。なお、北京市は「重大突発公共衛生事件」レベルを4月30日から2級に引き下げている。
- ・ 上海市は「重大突発公共衛生事件」レベルを5月9日から3級に引き下げている。
- ・ 報道によると、武漢市では大規模なPCR検査を実施した。5月24日までに900万人の検査を実施し、650万人の検査結果が判明しそのうち218人に無症状感染が確認されたとのことである。
(かわい・まさのり)
長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。
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