☆ベトナム:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報) 澤山啓伍(2020/04/24)

2020年4月23日号
ベトナム:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 澤 山 啓 伍

はじめに

 当初5月6日までとされていた緊急事態宣言につき、大型連休以降も延長する可能性につき政府内で議論が開始されたほか、自治体の休業要請に応じない事業者に対しより強い措置を講ずる場合のルール作りが始まるなど、新型コロナウイルスの事業への影響は長期化・深刻化しています。多くの海外地域においては引き続き厳格な外出制限や営業禁止等のロックダウン措置が継続している一方、一部地域においては行動制限の軽減・解除に向けた議論が始まるなど出口戦略の模索も始まりつつあります。

 本記事では速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本記事は感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本記事の内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本記事の内容は、特段記載のない限り、日本時間2020年4月22日夜時点で判明している情報に基づいています。

 

全体概況  死亡者:0人、感染者数(累計):268人(4月22日現在)

 ベトナム国内での感染者数は抑えられており、16日以降1日4,000件以上の検査をしているが22日までの間に新規感染者は出ておらず、死亡者は0人、感染者の8割以上は既に治癒している。ベトナム政府は4月1日から全土での「社会隔離」の実施を指示し、全ての国民に自宅待機を求めていたが、16日から感染リスクの低い地域での適用を解除した。さらに、23日以降、ハノイ市の一部地域等14日以内に感染者が発生した地域以外について「社会隔離」措置が段階的に緩和されることになった。今後各地域で経済活動が再開に向かうことが期待される。

 

主な政府発表

  1. ・ 4月1日から15日間、全土での「社会隔離」の実施を指示する首相指令第16/CT-TTg号を公布。全ての国民は自宅で待機し、(a)食料、食品、薬品の調達や健康診断、自然災害、火災、救急等緊急の場合、(b)国家機関、外交機関、必需品、必需サービスを生産・提供する企業・工場等で働く等、本当に必要な場合に限って外出するよう求めるとともに、他人と接触する際には2メートル以上の間隔を保ち、会社・学校・病院の外部や公共の場所において3人以上で集まらないことを求めている。この措置は、高リスク地域又は中リスク地域とされたハノイ市及びホーチミン市を含む28省・中央直轄市については、22日又は30日まで継続することになっていた。
  2. ・ 報道によれば、22日の首相による決定で、高リスク地域はハノイ市のMe Linh県、Thuong Tin県、北部ハザン省の一部地域等14日以内に感染者が発生した地域のみとされ、ハノイ市及びハザン省のその他の地域、北部バクニン省並びにホーチミン市は中リスク地域、その他地域は低リスク地域とされた。中リスク地域及び低リスク地域では、各人民委員会の決定に従い、首相指令第16/CT-TTg号の社会隔離措置を段階的に緩和することが認められた。これを受け、ハノイ市人民委員会は、レストラン、タクシー・バス等の公共交通機関を含む一部の事業について条件付きで再開を認めるとしたが、依然として露天営業飲食店等の営業は認めず、外出時のマスク着用義務等は継続するとしている。ホーチミン市人民委員会は、営業停止とされていた店舗等のサービスの再開を許可することとしたが、依然としてイベントの開催、20人以上での集会、学校・職場・病院等以外の場所における10人以上の集合を禁止し、公共の場所では2m以上の距離を開けることを要請している。
  3. ・ 首相指令第16/CT-TTg号には、一部例外を除く公共交通手段による旅客運搬の停止も含まれている。これに基づき、各地で路線バス、タクシー、配車サービス等の運行停止、国内航空便、南北鉄道の大幅減便が行われている。
  4. ・ COVID-19の流行により影響を受けた企業に対して、労働組合費や社会保険料の支払期限を延期する公文書が発行されている[1]。また、同様に税金や土地賃借料の支払期限の延期を定める政令第41/2020/ND-CP号も公布された。

 

渡航情報

  1. ・ 2020年3月22日以降の全ての外国人の入国の原則停止措置(政府官房通知第118/TB-VPCP号)は継続中である。但し、例外的に入国が許可される例もあり、実際、サムスンの韓国人エンジニア308人が入国したとの報道もある。
  2. ・ 4月1日から実施されている、ベトナム着の全国際旅客便の原則運行停止は継続中。国内線もハノイ、ホーチミン、ダナンの三都市を発着する数便(16日以降一部増便)に限って運行されていたが、これらの都市間でのさらなる増便及び他の地方都市への運行の再開も検討されている。
  3. ・ ベトナム航空は日本路線の全区間を5月末まで運休。日系航空会社も日越間の航空便を運休又は減便し、4月30日までの期間はベトナムから日本への復路便のみ運行している。

 


[1] 労働組合費につき、ベトナム労働総同盟によるオフィシャルレター第245/TLD号、社会保険料につき、ベトナム社会保険庁によるオフィシャルレター第860/BHXH-BT号

 

(さわやま・けいご)

2004年 東京大学法学部卒業。 2005年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。 2011年 Harvard Law School卒業(LL.M.)。 2011年~2014年3月 アレンズ法律事務所ハノイオフィスに出向。 2014年5月~2015年3月 長島・大野・常松法律事務所 シンガポール・オフィス勤務 2015年4月~ 長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス代表。

現在はベトナム・ハノイを拠点とし、ベトナム・フィリピンを中心とする東南アジア各国への日系企業の事業進出や現地企業の買収、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務アドバイスを行っている。

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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