企業法務フロンティア
契約英語の基礎(4)
日比谷パーク法律事務所
弁護士 原 秋 彦
8 契約書特有の代表的な用語・表現
8. 1. 一般的な契約書独特の用語・表現
- make and enter into 〔execute〕 this Agreement(本契約を締結する)
「execute」は、契約書の調印・締結の場合のみならず、一方向性の単独名義の証書(deed)の作成・調印(署名)の場合にも用いられる。
- a contract executed on March 20, 2018 v. a contract executed as of March 20, 2018 (2018 年3月20日に締結された契約 v. 2018 年3月20日付けで締結された契約)
「as of 」や「a contract dated March 20, 2018」(2018 年3月20 日付けの契約)にいう「dated」は、<実際にその日に両当事者が会合して調印した>というのではなくて、<その日に調印したという扱いにする>という表現。
- witnesseth(witnesses の古語で「……を証する」の三人称単数形)
- whereas(……であるところ):
「Whereas, the Licensee is desirous of obtaining a license to use the Trademarks for the manufacture, sale and other distribution of the Products;」 (ライセンシーは、本製品の製造、販売その他の頒布のために本商標を使用するライセンスの取得を切望しているところ)。この場合の主文は、「This Agreement . . . witnesseth . . .」(本契約は、以下を証する)。
- the terms and conditions set forth〔provided for〕hereunder/herein(本書に基づき/本書において規定された条項及び条件)
「set forth something」や「provide for something」は、「規定する」に相当する用語。
これに類する「set out」は「set forth」と互換的にも用いられるが、「set out」は権利義務関係についての規定というよりも、別紙や付属書等において箇条書き的に列挙されている項目について使われることが多いようで、「set out」は「記載する」、「set forth」は「規定する」と訳されることが多い。
- provisions 〔clauses〕(条項;規定)
- provide that . . .(……と規定する)
「provide」は「provide for」で名詞や名詞句を伴い、「provide」は所謂「that clause」を伴って、いずれも「規定する」の意味。契約書中では「provide」は「提供する」の意味合いで使われることも多いために、注意を要する。
- expiration of the term 〔duration; period〕of this Agreement(本契約の期間の満了)
- defined terms for purposes of this Agreement(本契約の関係で定義された用語)
- hereinafter referred to〔called〕as the “Licensor”(以下「ライセンサー」という。)
- the Licensed Trademarks as defined below(以下に定義されたところの「許諾商標」)
- herein referred to as the “Licensed Trademarks”(本書において「許諾商標」という。)
- claim [seek] damages(損害賠償を求める) v. reasonably foreseeable damages(合理的に予見可能な損害) v. property damage and bodily injury(財産損傷と身体傷害)
「damages」という複数形は、多くの場合、「損害」よりも「損害賠償」を意味する用例であり注意を要するが、米国の法令においてすら「損害」を意味する用例もある。
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