◇SH1779◇GPIF、「第3回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」を公表(2018/04/18)

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GPIF、「第3回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」を公表

--8割の企業が機関投資家による自社の議決権行使結果を確認--

 

 年金積立金管理運用独行政法人(GPIF)は4月4日、「第3回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」を公表した。

 GPIFでは、運用受託機関のスチュワードシップ活動に関する評価と「目的を持った建設的な対話」(エンゲージメント)の実態把握を目的として上場企業を対象としたアンケートを実施しており、今回は昨年5月のスチュワードシップ・コード改訂以降の変化の把握も目的として実施した。なお、昨年までは「JPX 日経インデックス400」構成銘柄を調査対象としていたが、今年はその対象を東証一部上場企業に拡大したため、回答社数は619社(回答率30.2%)となった(このため、設問によっては単純に前回との比較はできない)。

 以下、アンケート結果の概要を紹介する。

 

1 GPIFの運用受託機関を含む機関投資家の現状・変化について

 昨年5月のスチュワードシップ・コード改訂以降のIRミーティング等における機関投資家の変化について、40.4%の企業が「好ましい変化がある」と回答した。前回アンケートに回答した企業で比較すると、好ましい変化を感じる企業は44.3%から47.8%と若干ではあるが増加した。

 機関投資家との対話において、「具体的な長期ビジョンを示す」企業が70.5%に達しているが、中期経営計画期間をそのまま長期ビジョンの期間としている企業が多く、その想定期間は「3年超」と回答する企業が41.8%、「5年超」と回答する企業が30.2%であり、3-5年と回答する企業が大半であった。

 IRミーティングにおける機関投資家の議論の時間軸は、「経営戦略」に関しては56.5%の企業が「中長期視点になってきている」と回答した。その他の「資本効率」「株主還元」「財務状況」「業績」については「大きな変化は見られない」とする企業がいずれも60%以上と多数を占めているが、前回アンケートに回答した企業での比較では、特に「資本効率」について「短期化している」との回答が減少している。

 議決権行使の個別投資先企業および議案ごとの公表が進んだことを受けて、「自社の行使結果の確認をしたか」については、「主要(大株主)機関投資家の行使結果を確認した」が53.8%、「大半の機関投資家の行使結果を確認した」が27.1%と、あわせると8割の企業が自社の行使結果の確認を実施している。

 「機関投資家から議決権行使結果(行使理由等)のフィードバックがあったか」については、「説明はなかった」企業が51.1%、「(何らかの)説明があった」企業が48.9%であった。

 「協働エンゲージメント」については、「要請を受けた経験がある」企業は7.3%にとどまっている。企業側のメリットとしては「時間の効率化」、デメリットとしては「機関投資家間の意見調整が十分になされていない場合には対話が難しくなる」と回答した企業がもっとも多かった。

 

2 回答企業のIRおよびESG活動について

 「非財務情報に関する情報発信を行う際に用いる用語」としては、CSR、ESG、サステナビリティの順に使う頻度が多い。

 統合報告書(またはそれと同等の目的の機関投資家向け報告書)を「作成している」企業は43%で、作成している企業のうちでは86%が英語版を作成している。統合報告書等を「作成していない」企業の中では、「作成予定」「作成を検討中」の企業をあわせると56%であり、広がりをみせている。

 「ESG/CSR活動の目的」については、「企業価値向上+リスク低減効果」を挙げる企業が50.9%と過半数に達したが、企業規模によって回答は大きく異なり、大企業が比較的「企業価値向上」を重視(ESG寄り)する一方、小型株に分類される企業は「社会貢献」(CSR寄り)を挙げる企業も多い。

 「ESG/CSR活動における主要テーマ」としては、「コーポレート・ガバナンス」(67.4%)、「ダイバーシティ」(43.0%)、「気候変動」(36.3%)という企業・社会の共通課題を掲げる企業が多かった。

 「SDGsへの取組み状況」については、「知っており、取組みを検討中」が40%、「知っており、取組みを始めている」が24%、「知っているが、当面取組む予定はない」が23%と、知っている企業が8割超と急速に認知度が向上するとともに、取組みを始めている企業や取組みを検討している企業は6割超に達している。

 

3 GPIFの取組みについて

(1) ESG指数

 「ESG指数の認知度」はアンケート回答企業全体の約84.7%で、中型株に属する企業規模以上(TOPIX500)に限れば、ほぼすべての企業が認知している。

 ESG指数の選定について、61.7%の企業が評価しており、ネガティブな評価はほとんどなかった。そのように評価する理由は、「評価は全て公開情報に基づくこと」(41.8%)、「組み入れ銘柄を公開していること」(38.3%)などを挙げる企業が多かった。

(2) スチュワードシップ活動全般

 GPIFのスチュワードシップ活動全般への取組みについては、74.1%の企業が「高く評価する」「評価する」と回答した。「長期的視野に立った運用受託機関との対話」、「取組みに関する透明性の確保」などを評価する企業が多い一方、一部では「形式的な議論が増加している」と感じている企業もあった。

 GPIFの取組みのうち、「運用受託機関の評価におけるスチュワードシップ活動の重視」(50.4%)、「企業向けアンケート」(49.4%)などの認知度が高い一方、「英国30%Clubおよび米国Thirty Percent Coalitionへの加盟」(10.5%)や「グローバル・アセットオーナーフォーラム開催」(14.2%)についての認知度が低かった。

 GPIFのスチュワードシップ活動への期待としては、「長期的視点での対話の働きかけ」、「比較的時価総額が小さい企業に対する直接的・間接的な対話の機会を設けること」、「ESG投資の定着」などを挙げた企業が多くみられた。

 

 

  1. GPIF、「第3回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」の公表について(4月4日)
    http://www.gpif.go.jp/operation/pdf/stewardship_questionnaire_03.pdf
  2.  
  3. 参考
    SH1178 GPIF、「第2回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」を公表(2017/05/22)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=3659289

  4. SH1214 金融庁、スチュワードシップ・コード(改訂版)の確定 鈴木正人(2017/06/06)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=3760176

 

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