◇SH2097◇厚労省、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」を公表(2018/09/19)

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厚労省、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために
事業者が講ずべき措置に関する指針」を公表

――事業場における取扱規定の内容等――

 

 厚生労働省は9月7日、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」を公表した。本指針は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(以下、「働き方改革推進整備法」)による改正後の労働安全衛生法104第3項に基づくものであり、心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法・運用等について定めたものである(平成31年4日1日適用)。

 平成29年6月の労働政策審議会で建議された「働き方改革実行計画を踏まえた今後の産業医・産業保健機能の強化について」では、「事業者は、医師等による面接指導や健康診断の結果などから必要な健康情報を取得し、労働者の健康と安全を確保することが求められている。こうした健康情報については、労働者にとって機微な情報も含まれていることから、労働者が雇用管理において労働者の不利益な取扱いにつながる不安なく安心して産業医等による健康相談等を受けられるようにするとともに、事業者が必要な情報を取得して労働者の健康確保措置を十全に行えるようにするため、適切な取扱いが必要である」とされた。

 この建議を踏まえ、働き方改革推進整備法では、事業者は「労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない」とされ、「労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない」ことから、厚生労働大臣は、「事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表する」こととされた。

 これを受けて厚労省では、「労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会」において、平成30年4月23日から平成30年7月23日まで計6回検討を行い、本指針をとりまとめたものである。

 以下、本指針の構成と概要を紹介する。

 

「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」
(労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第1号・平成30年9月7日)

1 趣旨・総論(略)

 

2 心身の状態の情報の取扱いに関する原則

  1. ⑴ 心身の状態の情報を取り扱う目的(略)
  2. ⑵ 取扱規程を定める目的(略)
  3. ⑶ 取扱規程に定めるべき事項
  4.    取扱規定に定めるべき事項は、具体的には以下のものが考えられる。

    1. ① 心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法
    2. ② 心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲
    3. ③ 心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法
    4. ④ 心身の状態の情報の適正管理の方法
    5. ⑤ 心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む。以下同じ。)及び使用停止等(消去及び第三者への提供の停止を含む。以下同じ。)の方法
    6. ⑥ 心身の状態の情報の第三者提供の方法
    7. ⑦ 事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項
    8. ⑧ 心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理
    9. ⑨ 取扱規程の労働者への周知方法
  5.    なお、②については、個々の事業場における心身の状態の情報を取り扱う目的や取り扱う体制等の状況に応じて、部署や職種ごとに、その権限及び取り扱う心身の状態の情報の範囲等を定めることが適切である。
  6. ⑷ 取扱規程の策定の方法
  7.    事業者は、取扱規程の策定に当たっては、衛生委員会等を活用して労使関与の下で検討し、策定したものを労働者と共有することが必要である。この共有の方法については、就業規則その他の社内規程等により定め、当該文書を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける、イントラネットに掲載を行う等の方法により周知することが考えられる。
     取扱規程を検討又は策定する単位については、当該企業及び事業場の実情を踏まえ、事業場単位ではなく、企業単位とすることも考えられる。
  8. ⑸ 心身の状態の情報の適正な取扱いのための体制の整備(略)
  9. ⑹ 心身の状態の情報の収集に際しての本人同意の取得(略)
  10. ⑺ 取扱規程の運用
  11.    事業者は、取扱規程について、心身の状態の情報を取り扱う者等の関係者に教育し、その運用が適切に行われるようにするとともに、適宜、その運用状況を確認し、取扱規程の見直し等の措置を行うことが必要である。
     取扱規程の運用が適切に行われていないことが明らかになった場合は、事業者は労働者にその旨を説明するとともに、再発防止に取り組むことが必要である。
  12. ⑻ 労働者に対する不利益な取扱いの防止(略)
  13. ⑼ 心身の状態の情報の取扱いの原則(情報の性質による分類)(略)
  14. ⑽ 小規模事業場における取扱い(略)
     

3 心身の状態の情報の適正管理

  1. ⑴ 心身の状態の情報の適正管理のための規程
  2.    心身の状態の情報の適正管理のために事業者が講ずべき措置としては以下のものが挙げられる。これらの措置は個人情報の保護に関する法律において規定されているものであり、事業場ごとの実情を考慮して、適切に運用する必要がある。

    1. ① 心身の状態の情報を必要な範囲において正確・最新に保つための措置
    2. ② 心身の状態の情報の漏えい、滅失、改ざん等の防止のための措置(心身の状態の情報の取扱いに係る組織的体制の整備、正当な権限を有しない者からのアクセス防止のための措置等)
    3. ③ 保管の必要がなくなった心身の状態の情報の適切な消去等
  3.    このため、心身の状態の情報の適正管理に係る措置については、これらの事項を踏まえ、事業場ごとに取扱規程に定める必要がある。
     なお、特に心身の状態の情報の適正管理については、企業や事業場ごとの体制、整備等を個別に勘案し、その運用の一部又は全部を本社事業場において一括して行うことも考えられる。
  4. ⑵ 心身の状態の情報の開示等(略)
  5. ⑶ 小規模事業場における留意事項(略)
     

4 定義(略)

 

 

  1. 厚労省、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」を公表します(9月7日)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01170.html
  2. ○「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2018/09/000343667.pdf

 

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