◇SH2244◇スルガ銀行、業務改善計画を提出――「コンプライアンス体制再構築委員会」の設置等(2018/12/11)

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スルガ銀行、業務改善計画を提出

――「コンプライアンス体制再構築委員会」の設置等――

 

 スルガ銀行は11月30日、金融庁に業務改善計画を提出した。

 スルガ銀行では、シェアハウス関連融資等における不正行為について、9月7日に「第三者委員会調査報告書」を公表し、さらに9月14日に「取締役等責任調査委員会」(委員長=小澤徹夫弁護士)および「監査役責任調査委員会」(委員長=西岡清一郎弁護士)の設置について公表した。そして、同委員会の調査報告書を踏まえて、11月12日、同社の現旧取締役及び旧執行役員に対する損害賠償請求訴訟を提起したと公表した(後掲の別稿参照)。

 これに対して金融庁は10月5日、同社に対する行政処分を行っており、今般の業務改善計画はこれに基づくものである。

 業務改善計画の構成は、次のようになっている。

 

 第1章 問題の背景と根本原因(「創業家本位」の企業風土)

 第2章 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化

 第3章 当行再生のための意識改革とガバナンス(経営管理態勢)改革

  第1節 ガバナンス態勢の再構築等

  第2節 当行行員が融資業務や法令等遵守に関して銀行員として備えるべき知見を身につけ、健全な企業文化を醸成するため、全ての行員に対する研修の実施

  第3節 投資用不動産融資の全件調査について

 第4章 反社会的勢力の排除に係る管理態勢、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係る管理態勢の確立

 第5章 融資審査管理を含む信用リスク管理態勢及び内部監査態勢の確立

 第6章 創業家の一定の影響下にある企業群(ファミリー企業)との取引解消

 第7章 シェアハウス向け融資及びその他投資用不動産融資に関して、個々の債務者に対して適切な対応を行なうための態勢の確立

 

 以下では、「コンプライアンス委員会」に代わり、同社が11月27日に設置した「コンプライアンス体制再構築委員会」(委員長=須藤英章弁護士)に関する部分の概要を紹介する。

 

 

スルガ銀行「業務改善計画書」

第3章 当行再生のための意識改革とガバナンス(経営管理態勢)改革

 第1節 ガバナンス態勢の再構築等

 2 取締役会及び監査役会の機能強化

 (4) コンプライアンス体制再構築委員会の設置

 当行のコンプライアンス体制を抜本的に見直し、再構築することを目的として、取締役会決議に基づき、2018年11月27日、新たに「コンプライアンス体制再構築委員会」を設置いたしました。コンプライアンス体制再構築委員会の活動は、以下に述べるとおりです。

 

 3 コンプライアンス体制再構築委員会等

 (1) コンプライアンス体制再構築委員会の設置

 「コンプライアンス体制再構築委員会」(以下「再構築委員会」)の委員長は須藤英章弁護士とし、佐々木弘氏(2018年9月に外部から招聘した上席執行役員)及び社長に加え、社外委員としてコンプライアンス、反社会的勢力対応、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策を専門とする大野徹也弁護士を招聘し、合計4名体制といたします。また、監査役会により指名された監査役がオブザーバーとして参加いたします。

 (2) 再構築委員会の任務

 再構築委員会は、従来のコンプライアンス委員会に代わって当行のコンプライアンス体制を抜本的に見直し、再構築します。再構築委員会は取締役会に対して報告を行なうものとします。

 再構築委員会の任務を実行するコンプライアンス統括部内には、外部の専門性のある弁護士を配置し、制度設計(Plan)、運用(Do)、モニタリング(Check)、改善施策の実施(Action)まで、コンプライアンス体制を再構築するプロセス全般を指揮・監督いたします。また、コンプライアンス統括部の中に、たとえば下記の施策を行なうための分科会や対応室を置き、ここにも外部の専門性のある弁護士を配置し、各種コンプライアンス施策を実行してまいります。

  1. ・ 顧客本位の業務運営態勢の確立と全行的な意識の向上及び健全な企業文化の醸成に向けた教育・研修(ハラスメント研修を含む)
  2. ・ 内部通報制度の再構築
  3. ・ 反社会的勢力対応並びにマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る管理体制の再構築

 また、再構築委員会は、業務改善計画の進捗モニタリング(シェアハウス等顧客対応室の対応状況、創業家ファミリー企業問題対応状況のモニタリング)も行います。

 (3) 再構築委員会への情報集約

 内部通報に関する情報、顧客の苦情等に関する情報、反社会的勢力対応並びにマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策等に関する情報などの各種リスク情報については、適時・適切に再構築委員会に伝達され、これらを集約できる仕組みを構築いたします。

 (4) コンプライアンス統括部の充実

 コンプライアンス統括部の人員体制については、経営計画、法務、内部監査、システム等の部門を経験した総人員18名を配置いたしました。今後30名態勢へ大幅な拡充を進め、必要に応じてさらに人員を配置してまいります。

 コンプライアンス統括部は、再構築委員会の事務局機能を持つとともに、各種コンプライアンス施策の実施全般についての主導的役割を果たします。

 コンプライアンス統括部内には、外部弁護士を配置し、再構築委員会の須藤委員長の指揮を受けて、その活動強化を図ります。

 (5) 再構築委員会の存続期間

 再構築委員会は、通常のコンプライアンス委員会とは異なり、抜本的に当行のコンプライアンス体制を再構築する、いわば非常時における特別な委員会です。したがって、当面は外部の弁護士など多くの外部専門家が対応に当たりますが、再構築が完了し、当行として「独り立ち」して運用ができると再構築委員会が判断した時点で、その任務を終了し、次の形(平常時対応)に移行することを予定しております。

 速やかに当行が自らコンプライアンス関連業務を遂行できるよう、担当者への専門知識やノウハウを伝達することも外部専門家の任務といたします。

 

 

  1. スルガ銀行、業務改善計画の提出について(11月30日)
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2018/12/181130.pdf
  2.  
  3. 参考
    SH2094 山田康平「スルガ銀行、第三者委員会調査報告書を公表」(2018/09/18)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=7163776
  4.   SH2106 スルガ銀行、「取締役等責任調査委員会」および「監査役責任調査委員会」を設置(2018/09/26)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=7212519
  5.   SH2142 金融庁、スルガ銀行に対し新規の投資用不動産融資の停止等の行政処分(2018/10/16)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=7350189
  6.   SH2204 スルガ銀行、シェアハウス等融資問題につき現旧取締役・執行役員に対する損害賠償請求訴訟を提起(2018/11/21)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=7622708

 

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